【完全ガイド】リチウムイオン電池が発火したらどうする?正しい消火方法と最新情報

近年、私たちの生活に欠かせないスマートフォン、モバイルバッテリー、電動自転車。これらを支えているのが「リチウムイオン電池」です。寿命が長く高出力が出せる反面、ひとたび火が出ると「消えにくい」「爆発的に燃える」という恐ろしい側面を持っています。
東京消防庁の資料によると、リチウムイオン電池による火災は令和7年度では1297件発生しており、年々増加傾向にあります。リチウムイオン電池による製品別火災で最も多いのは各年共通して「モバイルバッテリー」による発火です。普段私たちが持ち歩いている便利なものが、使い方を誤ることで多くの人を傷つけるかもしれない「凶器」になるのです。そのため正しい知識を持ち、取り扱っていくことが、自分自身と周りの命を守ることにつながるのです。
本記事では、リチウムイオン電池がなぜ危険なのか、そして万が一の際に「本当に効果のある消火方法」を徹底解説します。
なぜリチウムイオン電池の火災は「特殊」で「危険」なのか?
一般的な紙や木材の火災と異なり、リチウムイオン電池の火災には3つの特徴があります。
①熱暴走(サーマルランナウェイ)
熱暴走とは強い衝撃や過充電が原因で、電池内部の異常な発熱がさらなる発熱を呼び、温度の上昇が止まらなくなる現象を指します。リチウム電池は一定の温度を超えると、外部からの酸素がなくても電池内部の可燃性有機溶剤が反応して熱を出し続けることで、数秒で1,000℃近い高温に達することもあります。
②ガス放出と爆発的燃焼
熱暴走が始まると、電池内部から水素やメタン等の可燃性ガスが噴出します。これが勢いよく燃え上がり、まるでガスバーナーのような激しい火柱を形成し、大きな火災につながる危険があります。
③再発火の恐怖
表面の火が消えたように見えても、電池内部には熱がこもっています。数時間後、あるいは数日後に再び化学反応が始まり、突然「再発火」するケースがあります。

万が一発火した時の「正しい消火方法」
リチウムイオン電池の火災において、最も重要なのは「冷却」です。先ほど紹介しましたが、リチウムイオン電池の発火原因の多くは発熱による熱暴走が原因です。それを踏まえ、東京消防庁では下記の消火方法を推奨しています。
大量の水による消火
燃焼を止めるだけでなく、内部の温度を下げて「熱暴走」を食い止める効果があります。
大量の水をかけ続け、火の勢いが収まった後も継続的な冷却を行ってください。
水没させる
小さなデバイス(スマホやバッテリー単体)であれば、水を入れたバケツや鍋に沈めてしまうのが最も確実です。これによりリチウムイオン電池を強制的に冷却し、消火することが可能です。

その他にも、「耐火バッグ」を用いて消火する方法もあります。それが、ANAホールディングス、菊地シート工業、TOPPANが共同開発した「Fire Resistant Bag」です。本製品は、航空会社の客室乗務員の要望から生まれました。航空機内で異常発熱した電子機器を一時的に安全な場所へ退避させ、発火や破裂などのリスクから乗客・乗務員、そして航空機を守ることを目的としています。この「Fire Resistant Bag」は、菊地シート工業の優れた耐火袋と、以前「制御盤内のトラッキング火災」の画期的な解決策としてご紹介した、TOPPANの消火フィルム「FS film®」を組み合わせた製品です。両社のコラボレーションにより、異常発熱したモバイルバッテリーを安全に隔離し、万が一発火した際でも迅速に消火することが可能です。

消火後の「再発火対策」が運命を分ける
「火が消えたから安心」と思ってゴミ箱に捨てるのは、絶対にやめてください。内部の残った熱から再び発火し、燃え広がる可能性があり、非常に危険です。消火したリチウムイオン電池は適切に処理する必要があります。
水没させたまま放置
完全に化学反応が収まるまで、水に浸けたままにします。
不燃性の容器で保管
蓋のできるペール缶や金属製のバケツに隔離してください。
119番通報
たとえ自分で火を消し止めたとしても、消防署に連絡して確認してもらうのが最も安全です。

発火させないための予防策チェックリスト
事故を未然に防ぐために、東京消防庁が推奨している、以下のポイントを徹底しましょう。
🛒 1. 購入時(製品選び)
- メーカー連絡先の確認:問い合わせ先の記載がない製品や、連絡がつかない製品は購入を避ける。
- 指定品の確認:製造事業者が指定する純正の充電器・バッテリーを選ぶ。
📖 2. 使用・保管時
- 取扱説明書の事前確認:使用する前にしっかりと説明書を読む。
- 適切な取り扱い:衝撃を与えないよう扱い、むやみに分解しない。
- 使用環境の注意:熱のこもりやすい鞄の中などでの使用は控える。
- 保管の工夫:万が一の被害に備え、不燃性のケースなどに収納する。
⚡ 3. 充電時
- 充電場所の整理:散らかった場所を避け、整理整頓された場所や不燃性ケースの中で充電する。
- 電圧の確認:端子の形状が合っていても、必ず充電電圧を確認してから使用する。
⚠️ 4. 異常を感じたとき
即時中止と相談
以下のような異常があればすぐに使用をやめ、製造事業者や販売店に相談する。
- バッテリーの膨張
- 充電できない / バッテリーの減りが異常に早い
- 充電中に熱くなる
🗑️ 5. 処分時
- ルールの確認:製品の取扱説明書と、地域の自治体のごみ回収ルールをそれぞれ確認して処分する。
引用:東京消防庁 リチウムイオン電池搭載製品の出荷危険https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kasai/lithium_bt.html
まとめ
リチウムイオン電池の火災は、一度起きると消火が困難になるほど激しく燃えることがあります。リチウムイオン電池による火災が発生した際には、まずは自身の安全を確保した上で、水を用いた消火活動を行い、すぐに119番通報を行ってください。
便利な道具だからこそ、その特性と「いざという時の消し方」を知っておくことが、あなたと家族の安全を守る鍵となります。
現在初田製作所では「火災発生リスク診断サービス」を行っています。見落としがちな火災リスクを把握し、適切な予防策を講じることができます。この機会に自社の火災対策を見直されてはいかがでしょうか。
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