【屋内消火栓のトリセツ】屋内消火栓の使用方法から消火に最適なノズルまでわかりやすく解説
「建物内に設置されている消火栓……見たことはあるけど使い方がよくわからない」そう感じている方は多いのではないでしょうか。消火栓は、火災が発生した際に消防隊が到着するまでの「初期消火」において、頼りになる設備です。
今回は、私たち防災のプロが、消火栓の基礎知識からその種類、実際の使い方まで分かりやすく徹底解説します。
「消火栓」の役割とは?
消火栓の最大の役割は、消火器では消し止められないような火に対し、強力な放水によって消火を行うことです。
消火栓は消防法施行令第11条、消防法施行規則第11条の2及び第12条に基づき、延べ面積や建物の用途(学校、病院、工場など)に応じて設置が義務付けられています。万が一の際、確実に動作するように維持管理を行い、従業員と会社の財産を守ることは、建物の所有者や防火管理者に課せられた重要な責務です。
消火栓の種類と特徴
消火栓には大きく分けて2つの種類があります。屋外に設置され、主に消防隊が使用する「屋外消火栓」。そして屋内に設置される、「屋内消火栓」です。今回は、従業員の皆様が使用する可能性のある、「屋内消火栓」について深堀していきます。
屋内消火栓は、以下の4つに分類されます。
- 1号消火栓
- 易操作性1号消火栓
- 2号消火栓
- 広範囲型2号消火栓
それぞれ操作方法や消火性能、設置できる防火対象物は異なります。
①1号消火栓
特徴: 平らな「平ホース(折りたたみホース)」が格納されています。
操作: 使用時はホースをすべて伸ばし、バルブを操作する必要があるため、2人以上での操作が必要です。
性能: 警戒範囲は半径25m、放水量は毎分130リットル以上と強力です。多くの一般的な建物に設置されています。
②易操作性1号消火栓
特徴: 常に形が保たれている「保形ホース」が格納されています。必要な長さだけを引き出して使えます。
操作:1号消火栓に比べ操作が大幅に簡略化されたため、1人での操作が可能です。
性能: 対象物や警戒範囲(半径25m)、放水量(毎分130リットル以上)は1号消火栓と同じです。
③2号消火栓
特徴: 易操作性1号消火栓と同様に「保形ホース」が格納されており、1人での操作が可能です。
性能: 警戒範囲は半径15mと狭く、放水量も毎分60リットル以上と少なめです。
注意点:「工場」や「倉庫」、指定可燃物が保管されている場所には設置できません。
④広範囲型2号消火栓
特徴: 2号消火栓と同じく「保形ホース」を採用し、1人での操作が可能です。
性能: 2号消火栓の弱点だった警戒範囲をカバーしており、放水量は毎分80リットル以上で、警戒範囲は1号消火栓と同じ半径25mとなります。
注意点:設置できる建物の条件は2号消火栓と同様で、工場や倉庫などには設置できません。

初めてでも怖くない!消火栓の使い方
消火栓の操作方法は折りたたみホースが格納されている1号消火栓と、保形ホースが格納されている易操作性1号消火栓・2号消火栓・広範囲型2号消火栓で違いがあります。それぞれのポイントを押さえ、万が一火災が発生してしまった際にスムーズに消火活動ができるようにしましょう。
1号消火栓(折り畳みホース)
1号消火栓は2人以上で操作します
1号消火栓の操作手順
- 発信機もしくは起動ボタンを押す。
- ノズルを持ち格納されているホースを必ずすべて引き伸ばし、放水体制を取る。
- バルブを開き放水する。
※東京消防庁公式YouTubeより引用
易操作性1号・2号消火栓・広範囲型2号消火栓(保形ホース)
易操作性1号消火栓・2号消火栓・広範囲型2号消火栓の放水量はそれぞれ異なりますが、操作方法は共通しています。これら3つの消火栓の特徴は、保形ホースであることです。1号消火栓と違いホースを出し切る必要はありません。必要な分だけのホースを出せばいいので、1号消火栓と比べ操作手順がシンプルになっています。
易操作性1号消火栓・2号消火栓・広範囲型2号消火栓の操作手順
- 火災報知器のボタンを押す。
- バルブを開放する。
- ホースを持って火元まで向かい、ホース先端のレバーを操作して放水を行う。
| 消火栓のポンプ起動の仕様はメーカや機種によって異なります。発信機と連動して起動するもの、消火栓ボックス内の起動ボタンを押すもの、バルブ開放と同時に起動するものなどがございます。防火担当者の方は、自社に設置されている消火栓の使用方法を一度確認いただき、従業員への周知徹底を図られることをお勧めします。 |
ノズルでここまで変わる!噴霧式ノズルの威力とは
一般に、消火栓に設置されている筒先ノズルは水が棒状に飛ぶ「ストレートタイプ」が主流でした。しかし、それでは万が一の火災対策として不十分と考えています。そこでお勧めするのは「可変噴霧切り替え式ノズル」です。可変噴霧切り替え式ノズルとはストレート型のように水が棒状に飛ぶのはもちろんのこと、水を霧状に発射することで広い範囲に放水することができます。
①熱から身を守る「水の盾」:霧状の放水がスクリーンとなり、放射熱から消火者の安全を守ります。
②「面」による効率的な消火:ピンポイントの「点」で狙うストレート型に対し、広範囲の「面」で捉えるため迅速な初期消火が可能です。
③水損の軽減:放水量を必要最小限に抑えることで、上階で使用した際の下層階への水漏れ被害を最小限に留めます。

屋内消火栓ホースの耐用年数は、製造から10年が目安とされています。劣化が進んだホースに高圧の水を通すと、途中で破裂して消火が不可能になるだけでなく、周囲の人が負傷する恐れもあります。
設置から10年が経過している、あるいは表面にひび割れや変色が見られる場合は、早急な買い替えをご検討ください。
まとめ
消火栓は強力な初期消火設備ですが、いざという時に使えなければ意味がありません。使い方の習熟はもちろん、古くなったホースの定期交換や、能力を最大限に引き出す可変噴霧切り替え式ノズルへの更新、さらに操作が容易な易操作性1号消火栓・2号消火栓・広範囲型2号消火栓への切り替えは、従業員の命と会社の財産を守る投資となります。
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