危険物倉庫には「防爆型」火災感知器が必要?火災のプロが教える爆発を防ぐための防災戦略

企業の防災担当者の皆様にとって、自社の施設が「法令を遵守できているか」だけでなく、「本当に万が一の事態を防げる設備になっているか」という疑問は、常に頭を悩ませる命題ではないでしょうか。
特に化学薬品、燃料などを取り扱う「危険物倉庫」を管理されている場合、自動火災報知設備の選定一つが、工場の存続や従業員の命を左右する決定的な差となります。
今回は危険物倉庫の火災対策として不可欠な「防爆型火災感知器」の重要性について徹底解説します。
物流倉庫・工場火災で発生した火災の教訓
倉庫火災や工場火災は一度発生すると鎮火までに数日を要し、被害額が数十億〜数百億円にのぼるケースも珍しくありません。特に注目すべきは、「化学物質(危険物)を取り扱う倉庫・工場」や「電気系統のトラブル」による火災です。
危険物倉庫では保管していた危険物から可燃性蒸気が発生した際、火災感知器が作動し機器内部の接点が閉じたときに、火花が発生する可能性があります。
火災を知らせるはずの感知器そのものが、爆発の「点火源」になってしまう恐れがあるのです。
| 化学物質の反応による火災 | 保管していた薬品が、漏洩や結露などによって化学反応を起こし、 発熱・発火するリスクがあります。 |
| 電気系統のトラブル | フォークリフトの充電設備や、配電盤からの出火。これらは、周囲に 可燃性蒸気や可燃性ガスが滞留している環境では、単なる「火災」 ではなく一瞬にして「大爆発」を引き起こす引き金になります。 |
そもそも危険物倉庫に火災感知器は必要なのか?
危険物倉庫への火災感知器の設置は「原則として必要であり、かつ、ただの感知器では不十分」です。
消防法および市町村条例に基づき、指定数量の倍数が10以上の危険物を貯蔵・取扱う施設には、自動火災報知設備の設置が義務付けられています。(危険物の規制に関する政令第21条)しかし単に火災感知器を設置すればいいわけではありません。ここで重要なのは「火災を知らせる」こと以前に、「火災感知器自体が火種の点火源にならないこと」です。
危険物倉庫内には、事故や漏洩によって「可燃性蒸気」が滞留している可能性があります。ここに一般的な火災感知器を設置すると、感知器が作動する際の微かな電気火花や熱が可燃性蒸気に引火し、施設全体を吹き飛ばすような大爆発を誘 発する恐れがあるのです。そのため、こうした場所には「防爆構造」を備えた専用の感知器を設置することが法律(危険物の規制に関する政令 第24条13項)および安全管理の両面から強く求められています。
「防爆型感知器」とは何か?
「防爆(ぼうばく)」とは、文字通り「爆発を防止する」という意味です。一般的な火災感知器は、煙や熱を感知する際に内部の回路で電気信号をやり取りします。このとき、目には見えないほど小さな「電気火花」が発生したり、部品が高温になったりすることがあります。リビングやオフィスであれば何の問題もありませんが、ガソリン等から発生する可燃性蒸気が充満した空間では、その小さな火花が「起爆スイッチ」に変わります。
防爆型感知器にも多くの種類があります。
| 本質安全防爆構造: 熱や煙を感知する際の火花や熱エネルギーを、ガスに引火しないレベルまで抑えた回路設計です。 |
| 耐圧防爆構造: 頑丈な容器の中に電気部品を収めた構造です。万が一、容器の内部で爆発が起きても容器がその圧力に耐え、内部の火炎や熱を外部に漏らしません。 |
| 安全増防爆構造: 一般的な感知器と比較して、通常使用時の火花や過度な熱の発生を抑制した構造です。 |
防爆型感知器にはこのほかにも種類があるため、導入にあたっては設置環境に適した感知器の選定が必要です。
普通の感知器と「防爆型」の決定的な違い
「感知器だけど、中身の構造は別物」――それが防爆型感知器です。
| 感知器 | 一般的な火災感知器 | 防爆型火災感知器 |
| 筐体(ボディ) | プラスチック製が主流 | 堅牢なアルミ合金やステンレス |
| 構造・遮炎性 | 煙や熱を通すために開放的 | 内部の火花を外に出さない特殊構造 |
| 配線方法 | 通常の電線接続 | 防爆電線管や専用の防爆型配線器具(ケーブルグランド)による強固な配線保護 |
| 国家検定 | 消防検定のみ | 消防検定 + 防爆構造電気機械器具検定 |
普通の感知器を使い続けるリスク
もし危険物倉庫に防爆性能のない感知器を設置した場合、以下のようなリスクを背負うことになります。
| 法令違反と行政指導: 消防査察において不備を指摘され、是正勧告や使用停止処分の対象になる可能性があります。 |
| 企業の社会的信用の失墜: 万が一事故が起きた際、「適切な設備を導入していなかった」ことが判明すれば、BCP(事業継続計画)や安全管理体制の甘さが厳しく問われます。 |
どのような場所に設置しなければならないのか?(危険度区域の分類)
防災担当者が知っておくべき重要なポイントは「危険度区域の分類(ゾーニング)」です。危険度区域は可燃性蒸気の滞留頻度によって分類されます。
| 危険度区域 | 特別危険箇所 (ゾーン0) | 第1類危険箇所 (ゾーン1) | 第2類危険箇所 (ゾーン2) |
| 特徴 | 爆発性雰囲気(可燃性蒸気など)が通常の状態において、連続してまたは長時間にわたって、もしくは頻繁に存在する場所を指します。 | 通常の状態において、爆発性雰囲気をしばしば生成するおそれがある場所を指します。 | 通常の状態において、爆発性雰囲気を生成するおそれが少ない、または生成した場合でも短時間しか持続しない場所を指します。 |
ほとんどの危険物倉庫の内部はゾーン1、ゾーン2に該当します。「うちは普段は臭いもしないし大丈夫だろう」という油断が、漏洩事故の際に最悪の結果を招きます。
そのようなゾーン1やゾーン2に設置可能な感知器として、当社がお勧めするのが日本フェンオールの「耐圧防爆型煙感知器」です。

この耐圧防爆型煙感知器の特徴は3つあります。
| ① コストパフォーマンス: 従来の防爆型感知器は専用の受信機やA種接地工事が必要でしたが、日本フェンオールの耐圧防爆型煙感知器は一般の受信機に接続可能で、A種工事も不要です。これにより、機器代・工事費ともに大幅な導入コスト削減を図れます。 |
| ② 高い技術力: 本製品は、世界初の耐圧防爆構造の煙感知器として特許を取得しています(特許第5771760号)。ラインナップは、感知のみを行う2種感知器「FLS-12E(-H2)」と、防火戸や防火シャッターとの連動が可能な「FLS-13E(-H2)」の2種類を展開しています。 |
| ③ 幅広い用途: 危険物倉庫はもちろん、水素の漏洩が予想される室内や蓄電池室にも対応しています。 |
防爆型感知器の性能を維持するためには、定期的な交換が必要です。日本火災報知機工業会では、交換の目安を煙感知器:10年、熱感知器:15年(半導体式は10年)と定めています。
日本フェンオールの耐圧防爆型煙感知器も、他の煙感知器と同様に10年が交換の目安となります。
| 感知器の種類 | 煙感知器 | 熱感知器 |
| 交換目安 | 10年 | 15年 (半導体式は10年) |
まとめ 防爆対策は「未来への戦略投資」
物流倉庫火災や工場火災の事例が示す通り、火災は企業のすべてを奪い去る力を持っています。特に爆発のリスクを伴う危険物施設において、防爆型感知器の導入は単なる「コスト」ではありません。それは、「社員の命」「顧客からの信頼」そして「企業の未来」を守るための「戦略投資」です。
「危険物倉庫に防爆型感知器は必要か?」という問いの本当の答えは、「貴社の大切な資産を守るために、最高の安全性能を備えた防爆型感知器が不可欠である」ということです。
お気軽にご相談ください
初田製作所では、長年の実績に基づき、危険物倉庫に最適な防災システムをご提案しています。当社が推奨する防爆型感知器は、過酷な環境下でも誤作動を防ぎつつ、確実に火災の初期兆候を捉えます。「自社の倉庫にどのタイプの防爆型感知器が必要かわからない」という担当者様も、ぜひ一度ご相談ください。法的な設置基準はもちろん、現場の運用に合わせた最適な設計をサポートいたします。
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