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引火性液体による火災の罠とは?既存の消火栓を生かす対策の最短ルート

危険物火災の現場において、適切な知識と装備がないまま消火活動を行うことは、被害を拡大させるだけでなく、消火に当たる方の命を危険にさらすことになります。
本記事では、多くの事業所や工場で使用されている第4類危険物の火災における水の危険性と、確実に鎮火するための「ピックアップチューブ付き泡ノズル」について詳しく解説します。 

1. 第4類危険物火災の特殊性と恐ろしさ

消防法で定められる「危険物」は、性質ごとに第1類から第6類まで分類されています。

その中でも「引火性液体」である第4類に起因する火災が、一般的な建物火災などと異なるのは、燃焼速度が極めて速く、爆発のリスクが高い点です。

加えて第4類危険物には、ガソリン、灯油、アルコールや重油など、事務所や工場で広く使用されているものが多く、誰にとっても身近なリスクであると言えます。
 

  • 拡大速度:液体そのものではなく、その表面から発生した可燃性蒸気が燃焼します。火が付くことで蒸気の発生が加速し、さらに急激に火災が拡大します。
  • 激しい燃焼と黒煙:危険物は炭素を多く含み、燃焼時には極めて高温の炎が上がります。同時に不完全燃焼による黒煙が大量に発生し、消火や避難、状況把握を困難にします。
  • 小さな火種で着火:可燃性蒸気の多くは、静電気や摩擦といった小さなエネルギーで着火します。目に見えない火種というリスクを常に秘めています。
  • 蒸気の滞留:可燃性蒸気の多くは空気よりも重く、床面やくぼみに溜まる性質があります。火が消えたように見えても、この蒸気が残っていれば、静電気ひとつで再引火・爆発を招きます。徹底的な鎮火が難しい理由の一つです。


 このようなリスクに加え、水での消火がかえって事態を悪化させることがあります。
 

2. なぜ第4類危険物の火災に「水」はリスクなのか

消火の基本は「冷却」ですが、第4類危険物の火災において水を使用することには大きなリスクが伴います。


・延焼拡大のリスク
第4類危険物は、水よりも比重が軽く、水に溶けない性質を持っています。ここに水をかけると、油が水の上に浮いた状態で広がり、火のついた油を撒き散らすことになります。
・スロップオーバー
高温の油に水が入ると、水が一瞬にして気化し、体積が膨張します。これにより、燃焼している油が爆発のように噴き出し、周囲に炎を拡散する「スロップオーバー」現象を引き起こします。

第4類危険物の火災において水による消火が不向きであるということは、意外と知られていません。
弊社が実施している「火災リスク診断」でも、多くの企業様において、危険物倉庫のすぐ近くに屋外消火栓が設置されている実態が見受けられます。

屋外消火栓のみの場合、引火性液体の消火には適していない「水」による消火を行ってしまう可能性があります。


3. 第4類危険物の火災を制する「泡」

火災を鎮めるには、燃焼の3要素(可燃物・酸素・熱)のいずれかを断つ必要があります。
消火薬剤には粉末やガスなど様々な種類がありますが、屋外や広い工場内での危険物火災に対して、「泡」が推奨されるのには理由があります。

粉末薬剤の限界:化学反応を止める「負触媒効果」に優れますが、ほとんど冷却効果を持ちません。炎が消えても危険物の液面が高温のままであることが多く、再引火するリスクがあります。
ガス系薬剤の限界:酸素濃度を下げるガス系は機械などへの汚損がない点がメリットです。しかし、屋外や天井の高い空間では、ガスが拡散してしまい、効果を維持できません。

泡消火の優位性

  • 窒息効果(酸素の遮断):耐火性の高い泡が燃焼面を隙間なく覆い、酸素の供給を完全に断ちます。
  • 冷却効果(熱の除去):泡に含まれる水分が蒸発する際の気化熱により、高温になった液面の温度を効率よく下げます。
  • 被覆効果(蒸気の封じ込め):これが最も重要な点です。消火後も泡が液面に残り続け、再燃リスクである可燃性蒸気の放出を物理的に抑え込みます。

※水消火・泡消火ともに、危険物の種類によって適応性は異なります。詳細は巻末をご参照ください。

4. 現場の課題を解決する「ピックアップチューブ付き泡ノズル」

多くの現場では、泡消火設備を導入したくても「大規模な設備投資が必要」「既存消火栓設備の仕様変更が難しい」といった課題を抱えています。
そこで推奨されるのが、ピックアップチューブ付き泡ノズルです。
 
ピックアップチューブ付き泡ノズルとは
ノズル自体に吸込管(ピックアップチューブ)が付いており、薬剤タンクから直接消火剤を吸い込むことができます。消火栓からの水圧を利用して、水と混合して泡を放射する器具です。

導入するメリット

既存設備の有効活用
大掛かりな混合装置(プロポーショナー)を設置する必要がありません。既存の消火栓のホースの先端を付け替えるだけで、即座に泡消火体制が整います。

機動力の高さ
コンパクトな設計のため、火災が発生したポイントへ迅速に持ち運ぶことができます。

確実な混合比率
ノズル側で混合比率を一定に保つ設計がなされており、専門知識がなくても安定した品質の泡を放射できます。

↓ピックアップチューブ付き泡ノズルや、危険物消火についてのお困りごと・ご質問はこちら

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まとめ:正しい知識と装備が、現場の命を守る

「火が出たら水をかける」という反射的な行動が、第4類危険物の火災においては取り返しのつかないこととなり、被害を数倍、数十倍に膨らませてしまうことがあります。
 
まずは自社の取り扱う物質が、水に対してどのような反応を示すのかを正しく把握することが第一歩です。そして、水による延焼リスクがあるならば、水に頼らない消火手段をあらかじめ備えておかなければなりません。
 
どのような火災にも対応できる体制を整えることは、現場で働く人々の安全・安心にもつながります。
消火栓が本来の「命を守る盾」としての役割を果たせるよう、今一度、現場の消火設備を見直してみてはいかがでしょうか。


※ すべての危険物火災に泡消火が有効というわけではなく、水での消火が必要な場合もあります

以下の表は各危険物に対して有効な消火方法を示したものです。
使用している危険物の性質や水に対する反応を正しく把握することが、危険物火災対策への第一歩です。

危険物の規則に関する政令 別表5

記事執筆者

mizu

新入社員のミズです。最近は出先の消火器のメーカーが気になって仕方がありません。 防災やその対策について、興味を持っていただけるようなコンテンツを目指します。

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