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総務省消防庁の調査によると、令和2年中に発生した建物火災は19,365件で、そのうち1,599件が工場・作業場の火災である。工場・作業場は可燃性が高い資機材や製品、仕掛品等が多く、ひとたび火災が発生した際には大規模な火災に発展しやすい。工場火災の発生による企業の経済的損失は計り知れない。そこで今回は工場の火災発生リスクと未然に防ぐための方策について解説したい。
目次
工場火災の統計をさらに詳しく確認するとともに、実際に発生した工場火災の事例を見ていこう。
先述した令和元年2年間で発生した工場・作業場・倉庫火災は計2,081件で建物火災全体の10.7%を占める。これは工場・作業場・倉庫において一日あたり約6件のペースで発生しているということになる。建物火災の原因についても確認しておこう。
順位 | 火災原因 | 件数 |
1位 | こんろ | 926件 |
2位 | 電気機器 | 706件 |
3位 | たばこ | 561件 |
4位 | 配線器具 | 518件 |
5位 | 放火 | 475件 |
【出典:総務省消防庁「令和2年(1月〜12月)における火災の状況(確定値)」】
建物火災件数から住宅火災件数を除いた物件における出火原因を集計すると、電気機器や配線器具による火災が多く発生していることがわかる。
さらに東京消防庁の工場・作業場火災の時間別出火原因発生状況を確認すると、午前9時〜午後5時までは電気溶接機や研磨機、充電式電池が原因の火災が多く、それ以外の時間帯では電気溶接機の他にコンデンサやレーザー加工機による火災が多い。
危険物施設とは、危険物を製造したり、保存したりする施設のことをいう。大規模製造拠点では地下タンクや屋内・屋外タンクに危険物を貯蔵しているケースが多い。
総務省消防庁の発表によると、日本国内における「危険物施設」自体は年々減少しているものの、危険物施設における火災件数は減少せず、一定の発生が続いている。令和2年の1年間で発生した危険物施設の火災は187件、負傷者は33名、損害額は約11億円である。
【出典:総務省消防庁「令和2年中の危険物に係る事故の概要」】
続いて実際に発生した工場火災の事例と損害額を確認しておこう。
事例 | 種別 | 損害額 |
A社 | 半導体工場 | 240億円程度 |
B社 | 半導体工場 | 223億円程度 |
C社 | 信号機工場 | 140億円程度 |
いずれの火災も大規模な損害額を計上しており業績に甚大な影響を与えている。その業界で世界的なシェアを誇る企業の工場で火災が起きた場合、影響は自社のみならず、世界中に及ぶ。取引先においても数十億円を越える特別損失を計上した例もある。こういったリスクを踏まえると工場火災の予防措置や速やかな初動対応を実施できる仕組み作りは、製造業においては最優先事項であることがわかる。
半導体工場火災において、被害が大きくなる要因や、火災が発生するリスクについてはこちらの記事【「半導体工場の火災リスク~早期検知の重要性とその方法~」】で詳しく解説しているため参照されたい。
工場火災を未然に防止し、さらに初期消火によって被害を最小限に食い止めるためには火災対策が必須である。ここではその火災対策における法定設置と最適設置の差について解説する。
消防法では、建物の規模や用途に応じて必要な消防設備の設置が定められている。これを法定設置という。
法定設置の内容は、主に建物の用途や延べ床面積、また保有する危険物の量、概ねこれらのみで決定される。また、設置した消防設備の維持管理も必要である。
同じ床面積と危険物の量であっても、建物内部の事情は千差万別である。工場であれば、製造品目や、製造工程、在庫状況、現場環境等の違いによって火災発生リスクが大きく異なる。これらの工場の固有リスクを把握した上で、それに応じた火災対策が重要である。
同じ床面積と危険物の量であっても、建物内部の事情は千差万別であり、工場であれば、製造品目や、製造工程、在庫状況、現場環境等の違いによって火災発生リスクが大きく異なることは先述した通りだ。また、消火設備作動時の周囲への汚損を極力少なくしたいエリアや危険物の多いエリア等、環境に応じたBCP(事業継続計画)面からの検討も必要となる。こういった状況を総合的に考慮した消防設備の設置が、いわゆる最適設置である。
消火設備の種類や重要性など、最適設置を実現するために知っておくべき知識については、こちらの記事【「環境特性に応じた火災対策~消火設備の重要性とその種類~」】でさらに詳しく説明してある。あわせて参考にしていただきたい。
工場火災を防止するために必須の「最適設置」であるが、何が最適かを、消防設備を専門としない事業者が判断することは難しい。そこで当社ではHTCサービスという火災発生リスクの簡易無料診断サービスを提供している。HTCサービスの概要とメリットは以下の通りである。
HTCサービスは火災発生リスクの無料診断サービスだ。プロの診断員が工場を訪れて、約250項目を2〜3時間ほどかけて診断する。各工場特有の火災リスクを洗い出し、延焼・類焼、防火管理、出火防止、防災設備、危険物・可燃物管理等の観点で診断を行い、診断結果をレーダーチャート化し、火災リスクを見える化したレポートを提供する。併せてソフト面とハード面からの安全対策の改善提案を提供する。あくまで一例であるが、ソフト面は消防設備の運用状況や可燃物・危険物の管理方法等があり、ハード面は最適設置を含む機器の提案等である。いずれも、火災の発生リスクと火災による被害を極小化させるための提案である。
HTCサービスを受けていただくメリットは以下の通りだ。
HTCサービスによって、一歩進んだ火災対策を講じることができる。防火対策の強化を検討している事業者様はもちろんのこと、「自社の火災発生リスクを把握したい」と考える事業者様にもおすすめできる。
すでにHTCサービスを受けたお客様からは以下のようなお声をいただいている。
「自社の全工場の火災リスクを評価しようとしたのですが、自信が持てませんでした。そこでHTCサービスを申し込んだところ、火災対策のプロに診断してもらえて、具体的な対策を策定できました。おかげで最適な消防設備を選ぶことができ感謝しています」
「自社工場だけでなく、グループ会社や海外工場まで診断をしていただきました。これまで隠れていた火災リスクが可視化されて、大変助かりました。今後は診断のことだけでなく防災のパートナー企業として様々な相談をしていきたいです」
工場では1日約6件の火災が発生している。様々な火災調査等の事例を見ると、些細なことから大規模火災に繋がるケースは決して少なくない。中には100億円を超える巨額の損失を被った事例もある。
工場で火災が発生した際に、初期消火活動によって被害を最小限に抑えることともに、それ以前に火災を起こさない予防対策についても把握できるのがHTCサービスであり、既設の消防設備が正常に作動するかどうかを見る消防設備点検とは明確に役割が異なるのである。当社では工場の巡回チェック、診断レポートと改善提案の提供をHTCサービスとして提供している。工場火災のリスクを把握し、最適な火災対策を講じたいと考える事業者様は是非お問い合わせいただきたい。
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