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我々の暮らしを豊かにしてくれる工業製品や精密電子部品を製造するのに必須となる「産業用洗浄機」や「半導体製造装置(前工程:エッチング、塗布、洗浄工程等)」では、数多くの薬品(有機溶剤等)を使用することから火災発生リスクが高いことが知られているのはご存じだろうか。特に大量生産かつ高付加価値の半導体を製造している工場では、ひとたび火災が発生することで操業停止に繋がり、数千万~数億円の損害額に達することから火災対策が必至である。今回は洗浄装置に最適な火災対策としてどのような消火システムを設置すべきかについて考えていきたい。
目次
今回着目したい洗浄装置とは、大きく分けて次の2パターンである。
NC旋盤やマシニングセンタ等の工作機械で切削加工された部品を対象物(ワーク)とする洗浄装置を指す。前工程で付着した油性切削油(クーラント)などを除去する脱脂洗浄を主目的とし、箱型の装置内を自動的にワークが流れる「密閉式」と、手作業でワークを洗浄槽へ浸漬させる「開放式」の2種類があるが、今回は今後増加するであろう自動化された「密閉式」に絞ることとする。
半導体製造プロセスの中で必要となる前工程(エッチング、塗布、洗浄工程等)で使用される製造装置を指す。精密電子部品が洗浄されるワークであることから洗浄のクリーン度が高く、原則は「密閉式」の装置である。
いずれの装置においても共通して言えることは、使用される各種有機溶剤(炭化水素系、アルコール系、その他)が、概ね消防法の「別表第一(第2条、第10条、第11条の4関係)」で定めるところによる第4類(引火性液体)の危険物に該当するものが多い傾向にあることである。併せて、洗浄工程の原理についても、ここで簡単に説明したい。薬液供給装置から循環された各種有機溶剤は、ヒーターにより加熱され、装置内部で均一なベーパー(揮発蒸気)状態となる。この溶剤雰囲気下に洗浄したいワークを流すことにより、ムラのない均一な洗浄をおこなうことが可能となる。ベーパー以外にも噴流、超音波、揺動、回転、バブリング、シャワーなど様々な洗浄方式があり、ワークの特性や洗浄の仕上げ状態により選択することとなる。もちろんのこと、装置自体にも火災に対する安全装置が装備されているが、機器の過熱や、電気機器のスパーク、静電気放電、薬液漏洩等による装置運転中の火災が発生しているのが現状である。このような特徴を持つ洗浄装置には一体どのような火災発生リスクが潜在しているのだろうか?まずは実際の火災事例からチェックしていきたい。
代表的な洗浄装置の火災事例として、下記の2つの事例を紹介したい。
洗浄装置の温度調整器の故障による異常過熱で洗浄用薬液槽の空焚きが発生し、出火。当該洗浄装置のほか、周辺の生産設備に損害が生じた。
チタン製機械部品を超音波洗浄装置にて洗浄中に、サーモスタットの故障による電気火花が発生し、周辺に浮遊していた洗浄液の可燃性蒸気に引火し、出火した。これにより洗浄装置以外の他の機械なども焼損や汚損による被害を被った。
それでは、洗浄装置における火災対策とはどうあるべきかについて考えていきたい。前述の通り、洗浄装置内部には各種有機溶剤(引火性液体)、熱源、電気機器など、火災に繋がるリスク要因が集中していると言ってよい。さらに、洗浄装置の周辺には装置内部へ供給する各種有機溶剤の保管容器も高確率で置かれていることも想定すると、洗浄装置内部で発生した火災は、洗浄装置内部で留めて「早期検知+初期消火」がなされることが望ましいと言えるのではないだろうか。一方で、洗浄装置に対して「火災対策を講じること」といった法令はなく、基本は周辺に設置されている消火器を使用することとなる。世の中に最も普及しているABC粉末消火器に使用されている粉末消火薬剤は、消火能力と市場における流通性の高さから法定設置に選ばれることが多い。しかしながら、洗浄装置自体も高額である点を鑑みると、万が一誤放射が発生したとしても、洗浄装置の損害を最小限に留め、機械の早期復旧を見据えた最適な火災対策が必須となると考えて頂けるのではないだろうか。
以上を踏まえ、当社が考える洗浄装置への最適な消火システムをご紹介したい。
https://hatsuta.co.jp/manufacture/
「標準仕様書」「取扱説明書」などはこちらよりご覧頂けます。
以上の通り、洗浄装置の最適な火災対策を述べてきたわけだが、まずは、「洗浄装置には火災発生リスクがある」という事実を知ることが最も重要であり、対策の第一歩となり得ると考える。ぜひとも、一歩進んだ火災対策として、「洗浄装置向け自動消火システム」の導入をご検討頂きたい。
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