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近年、地震や台風などの自然災害に加え、予期せぬ火災事故が後を絶ちません。事業活動を継続していく上で、火災から従業員や財産を守るための備えは非常に重要です。その備えの中心となるのが「自衛消防組織」です。本記事では自衛消防組織について詳しく解説しています。一定以上の規模の事業所には設置が義務付けられているため、こちらの記事を参考にしていただき、今後の防火対策に役立ていただければと思います。
目次
まず自衛消防活動とは消防署などの公設消防機関が到着するまでの間、被害を最小限に抑えるための活動です。そしてスムーズな消防活動のため、一定規模以上の事業所や建物において編成が義務付けられているのが「自衛消防組織」です。具体的には、事業所や建物に設置された消防用設備などを活用し、火災の初期消火活動や避難誘導、消防組織への情報提供などを行う組織のことです。
防火対象物の管理権原者に対して、自衛消防組織の編成が義務付けられています。他にも、消防計画の中に「自衛消防組織の業務に関する事項」を盛り込む必要があります。
消防計画について、詳しくはこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。
消防法では、一定規模以上の事業所や建物に対して自衛消防組織の設置と維持を義務付けています。具体的な条件は下記1⃣~4⃣となります。
条件①:規模
1.階数が11階以上の防火対象物:延べ面積 10,000㎡以上
2.階数が5階~10階の防火対象物:延べ面積 20,000㎡以上
3.階数が4階以下の防火対象物:延べ面積 50,000㎡以上
条件②:用途
(1項)劇場等
(2項)風俗営業店舗等
(3項)飲食店等
(4項)百貨店等
(5項イ)ホテル等
(6項)病院・社会福祉施設等
(7項)学校等
(8項)図書館・博物館等
(9項)公衆浴場等
(10項)車両の停車場等
(11項)神社・寺院等
(12項)工場等
(13項イ)駐車場等
(15項)その他の事業場等
(17項)文化財である建築物
1.対象用途の全部又は一部が11階以上の階にある防火対象物:対象用途の床面積の合計が延べ面積 10,000㎡以上
2.対象用途の全部又は一部が5階~10階にある防火対象物:対象用途の床面積の合計が延べ面積 20,000㎡以上
3.対象用途の全部又は一部が4階以下の階にある防火対象物:対象用途の床面積の合計が延べ面積 50,000㎡以上
延べ面積1,000㎡以上
製造所・一般取扱所:取り扱う第4類の危険物が、指定数量の3000倍以上
移送取扱所:取り扱う第4類の危険物が、指定数量以上
※こちらの条件は危険物保安統括管理者を選任しなければならない条件と同じです。
設置義務がない場合でも自衛消防組織の設置が推奨されています。ご自身の事業所が該当するかどうか不明な場合は、所轄の消防署に確認することをおすすめします。
自衛消防組織の編成は、一般的には以下の役割を担う人員が配置されます。
・統括管理者:自衛消防組織の指揮を執る責任者
・初期消火班
・避難誘導班
・応急救護班
・通報連絡班
4つの班に対し、班長を含む2名以上の班員が必要です。統括管理者と上記4つの班長は自衛消防業務講習を受講し、修了している必要があります。
修了後は、5年以内に再講習を受講しなければなりません。
本部隊の下には、必要に応じて地区隊を編成します。ここでの地区隊とは関東・関西などの地区ではなく、建物の1フロアや各事業所などを指します。
危険物施設における自衛消防組織の編成は上記と少し異なります。危険物の製造所等の場合、下記の区分により人員と化学消防自動車を配置する必要があります。
事業所の区分 | 人員数 | 化学消防自動車の台数 |
指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量が 指定数量の12万倍未満である事業所 | 5人 | 1台 |
指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量が 指定数量の12万倍以上24万倍未満である事業所 | 10人 | 2台 |
指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量が 指定数量の24万倍以上48万倍未満である事業所 | 15人 | 3台 |
指定施設において取り扱う第四類の危険物の最大数量が 指定数量の48万倍以上である事業所 | 20人 | 4台 |
防火対象物の管理権原者は、自衛消防組織を設置した際や管理統括者などに変更があった際に遅滞なく消防署へ届出を提出する必要があります。具体的には「自衛消防組織設置(変更)届出書」や必要な書類を添付します。
複数の管理権原者が共同して自衛消防組織を設置する場合、届出は下記のいずれかの方法で行いましょう。
⓵各管理権原者が別々に届出(添付書類は共通のものを使用)
②各権原者が連名で届出(各管理権原者の住所・氏名・押印の別紙が必要)
③各管理権原者の代表者が届出
東京消防庁が公開している様式はこちら
自衛消防組織は、火災発生時において以下のような活動を行います。
初期消火活動:消火器や屋内消火栓を用いて、火災の拡大を防ぎます。
避難誘導:来訪者や従業員を安全な避難経路へと誘導し、取り残された人がいないかを確認します。
消防署への連絡:火災の状況や発生場所などを迅速に情報収集し、正確に消防署へ伝えます。
負傷者の救護:応急処置を行い、必要に応じて救急組織へ引き継ぎます。
これらの活動を迅速かつ的確に行うためには、日頃からの訓練が不可欠です。定期的な消火訓練や避難訓練を実施し、従業員一人ひとりの意識を高めておくことや活動内容の改善が重要になります。
東京消防庁が発表している、自衛消防活動の成功事例を紹介します。
①自衛消防組織の連携により、ホテルの利用客600名を迅速に避難誘導した事例
ホテルのレストラン内厨房での出火です。消防計画に基づいて自衛消防組織の本部隊・地区隊が連携し、通報・消火・避難誘導等が迅速に行われました。それにより多数の利用客を混乱させることなく誘導し、けが人等も発生しませんでした。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jirei/jirei03.html
②研究所で発生した火災において、 組織的な自衛消防活動が的確に行われ、 約90名の従業員が迅速に避難した事例
分析室において、延長コードが長期間圧迫されていたことから出火に至った事例です。火災発見から、現場確認、消火器による初期消火、119番通報、社内放送による避難誘導、消防隊長着時における情報提供まで、一連の行動が消防計画に定められたとおり的確であり、自衛消防隊長を中心に組織的な活動が行われました。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jirei/jirei11.html
東京消防庁のサイトでは、自衛消防活動のさまざまな事例があげられています。
ご自身の事業所での避難訓練や維持・改善にご活用いただくとともに、「火災はいつでも、どこでも発生する可能性がある」ことを念頭に置きましょう。
詳細はこちら⇒https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jirei/index.html
事業所での避難訓練は、人命や財産を守るために重要です。避難訓練は「火災が発生した後」を想定して行うものですが、そもそも火災を起こさないという「火災発生前」に重きを置いた、火災発生リスク診断サービスをご存じでしょうか。
【火災リスク診断サービスの特長】
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消防設備士資格を取得した防災のプロが現地へ訪問し、火災につながる可能性のある箇所(上記のような延長コードなどの出火につながるポイント)を1つ1つ洗い出します。消防設備点検や避難訓練とは目的が異なりますので、ぜひ一度火災リスク診断を受けてみてはいかがでしょうか。ご相談やお問い合わせはこちら
自衛消防組織は、事業所の安全を守るための重要な組織です。適切な編成や日々の訓練を通じて、火災発生時の被害を最小限に抑えることができます。
当社の火災リスク診断サービスは、お客様の事業所を火災から守るための強力なサポートとなります。ぜひ一度、ご相談ください。お客様の安心・安全な事業活動を、私たちは全力でサポートいたします。
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