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火災2024.07.05

事業所におけるワンランク上の避難対策とは? 避難を手助けする「蓄光製品」について解説!

事業所の避難対策について、どのような取り組みをしていますでしょうか。火災や地震等の有事の際、最終的に命を守ることに繋がる「避難」の重要性は言うまでもありません。
当記事ではワンランク上の避難対策として、蓄光製品を活用した対策についてご紹介いたします。

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避難は「最後の砦」

火災対策という言葉を聞いたときに真っ先に思い浮かぶものは何でしょうか。まずは火災を起こさないための「予防」、それでも万が一火災が起きてしまった時の「早期覚知」と「消火」。いずれも火災対策には欠かせない要素ですが、最終局面において命を守ることに繋がる「避難」についてはどうでしょうか。避難は火災にだけでなく地震等も含めた有事の際において、発災後にとるべき一連の動きの中でも特に重要な最終フェーズと考えています。火は消せなかったとしても、最終的に無事に避難が出来れば命は助かるのです。避難の重要性を理解し、より安全かつスムーズな避難を行えるよう日頃から考え準備しておきましょう。

過去の火災から学ぶ避難の重要性

①歌舞伎町ビル火災(2001年)

9月1日、折悪しくも「防災の日」の未明に東京都新宿区歌舞伎町にある小規模雑居ビルで起きた火災です。ビルの規模に比して44人が亡くなり、3人が負傷するという大惨事となりました。 日本で発生した火災としては戦後5番目の被害です。多くの死傷者を出した最大の要因は、ビル内の避難通路の確保が不十分であったためとされています。当時、出火元となったビルの3階のエレベーターホールには、階段への出入りを塞ぐように発泡スチロール製のつるし看板が設置されていたほか、このビルには階段が1つ(幅は約70センチメートル)しかなかった上、3階から4階の階段にも物がほぼ隙間なく置かれていました。また、3階から2階に下りる階段も同様に物で埋まっており、各階のエレベーターホールと階段の仕切りには防火扉が設置されていましたが、荷物や看板などが障害となり、閉じることができない状態でした。
この火災によって消防法の一部が改正され、あらためて日頃からの防火管理や避難の重要さを認識させられる火災事故となりました。

②某菓子メーカー(2022年)

新潟県にある某菓子メーカーで深夜に乾燥工程内の菓子のかすから発火したとされる火災です。この火災では6人の従業員が亡くなりました。同社の発表や事故調査委員会の報告資料によると、夜間帯の避難訓練を近年実施できていなかったことや防火シャッターの存在や意義が周知されていなかったこと、警報が発せられても誤報と受け止められ作業を継続する対応が一般化していたことなどが明らかにされています。また、火災が発生した時間が深夜帯、その上に停電も引き起こしたことから、暗い中で扉に付随する避難用のドアを開けられずに逃げ遅れてしまった可能性もあるとされています。

有事の際の避難のためにできること

日頃から出来る取り組みとして、基本的なこととしては避難経路上に障害物を置かないということが重要です。「そんな簡単で当たり前なこと」と思うようなことほど実は意外と出来ていなかったりするものです。また、火災時に避難を手助けする防火戸や防火シャッター、排煙装置、避難器具などの設備について、それらの役割や目的、使い方を従業員にしっかりとレクチャーすることも重要です。防火管理者をはじめとした教育する立場の人が、従業員一人ひとりの意識改革に繋がるような意味のある防災教育を率先して行っていくことが大切です。

避難経路における通路幅については「事業所において確保すべき通路幅とは?」の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

半導体工場の火災リスク~早期検知の重要性とその方法~

避難を手助けする「蓄光」とは

この他にできることとして、物理的に避難を手助けするという対策方法があります。それが「蓄光製品」の導入です。蓄光という言葉は多くの人が一度は聞いたことがあると思います。またイメージもしやすいと思いますが、似たような言葉に「蛍光」「反射」などがあります。

①蛍光…光に反応し、明かりのある場所で鮮やかに見えます。暗闇での視認性はありませんが、鮮やかな色彩で良く目立つため、日中や照明のある環境で有効です。

②反射…受けた光を反射するため、暗闇でも光源側から明るく輝いて見えます。暗闇での視認には光源が必要ですが、光を受けることで遠方からでも目立つため、ライトを使用する環境での視認性が良好です。

③蓄光…蓄えた光のエネルギーを放出し自発光するため、暗闇で光って見えます。視認性は時間の経過とともに低下していきますが、一定時間の視認が可能なため、暗所の目印として有効です。

蓄光は一度蓄えた光は徐々に放出されていきますが、一度蓄えると自ら発光し続け、電源が不要で、ランニングコストやメンテナンス費がかからないというメリットがあります。
これらのメリットを持つ蓄光という性質を活かしたものが蓄光製品であり、代表的なもので言うと時計の文字盤やキーホルダーなどといった私たちの生活の身近な物や場所でも使われています。そして、有事の際の避難を手助けするキーアイテムとしても蓄光製品は活用されています。

蓄光テープと蓄光式誘導標識

蓄光を活用した避難対策アイテムとして、蓄光テープや蓄光式誘導標識があります。これらは火災時の煙や停電によって視界が悪化した際でも、安全かつスムーズな避難を手助けします。

〈蓄光テープ〉使用例1.「床」


床面に貼り付けることで、暗転時も避難動線を分かりやすくし、安全な避難が可能です。


柱や障害物などにも貼り付けることで暗転時も立体物であることが分かり、避難時のケガ防止にも役立ちます。

〈蓄光テープ〉使用例2.「階段・段差」

避難時に真っ暗になると、多くの人はスムーズに避難することが困難になります。階段や段差に蓄光テープを貼り付けることで避難にかかる時間の短縮が期待できます。
2階から1階への避難にかかる平均時間を計測し、蓄光テープなしの場合と比較し、蓄光テープが貼り付けされている場合は約3分の1に短縮するという実験データも出ています。

凹凸がありテープの貼り付けが困難な場所には、塗料タイプも有効です。

〈蓄光テープ&蓄光式誘導標識〉使用例3.「避難口」


避難口には出口であることがわかりやすいように、ドア全体やドアノブ、またその周辺への蓄光テープの貼り付け、また蓄光式誘導標識をドア下部へ設置することが効果的です。消防設備として既に誘導標識が設置されている箇所においても、床面から1m未満への追加設置がお勧めです。理由として、火災発生時は煙が上昇し、天井に衝突後、放射線状に降下します。誘導灯や誘導標識の視認性が悪くなる可能性が高く、低い位置に蓄光テープや蓄光式誘導標識を追加設置することで視認性を確保するためです。

  

普段は使い慣れた扉でも、暗転時や気が動転している際は位置を把握できないものです。
ドアノブの位置や開閉方向を正確に把握するため、ドアノブ部分へのシール設置も効果的です。

まとめ

防災対策における避難への取り組みとして、避難の重要性と蓄光製品を活用した避難対策についてご紹介しました。蓄光製品については今回ご紹介した内容以外にも様々な活用方法があり、防災シーンでも今後益々普及していくものと考えます。
ぜひこの機会に、事業所における避難対策を見つめ直し、いつ何が起きても良いよう万全の準備を日頃からしておきましょう。避難対策だけでなく、火災対策全般においても何かお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。

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