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火災2023.10.02

事業所において確保すべき通路幅とは?

通路

事業所において、スムーズな避難のために避難通路を確保することは、火災や地震等に対する防災対策のひとつとして非常に重要な項目となる。適正な通路の幅やその維持については、消防法や建築基準法等によって定められた基準が目安となる。また、避難のための通路確保でなく、安全上確保するべき通路幅に関する規定等もある。当記事では、避難通路や通路幅についてはどういった基準・規定があるのか解説し、運用時の維持管理についても触れていきたい。

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適正な運用が出来ているかを管理するには巡回等による確認が有効である。第三者によるチェックに関する記事はこちら

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消防法による規制

消防法においては、「避難上必要な施設等の管理」といった観点で以下の規定があるが、明確な通路幅の数値は言及されていない。

避難上必要な施設などの管理(消防法第8条2の4)
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。

明確な通路幅の数値を定める規定はないものの、避難の支障となる障害物等がおかれないよう維持管理する必要があることが明言されている。

建築基準法による規制

次に、建物を建てる際や利用する際に守らなければならない建築基準法における規定を紹介する。廊下幅・敷地内通路幅・階段の幅等、それぞれに異なる基準が定められている。しかし、これらは全ての建物に対して規制されるわけではなく、建物の規模・用途によって規定の有無や基準が異なってくる。

廊下幅(建築基準法施行令第117条、第118条、第119条)
「通路の片側のみに居室がある場合」:1.2m以上
「両サイドに居室がある場合」:1.6m以上
※学校の用途の場合、片側居室の場合1.8m、両側居室の場合2.3m
※対象となるのは、特殊建築物・中高層建築物・無窓居室を有する階・大規模建築物

建屋出口から屋外避難まで(建築基準法施行令第128条)
敷地内通路幅:150cm以上
※緩和条件:階数3F以下、延べ面積200㎡以下の場合は90cm以上
※対象となるのは、特殊建築物・中高層建築物・無窓居室を有する階・大規模建築物

階段(建築基準法施行令第23条、第24条、第27条)
屋内階段:75cm以上※
屋外階段(直通階段):90cm以上
屋外階段(その他階段):60cm以上

※建物の規模・用途により、120cm以上や140m以上となる場合あり
【例】学校の場合1.4m以上、直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える場合1.2m以上など

原則として、これらを適合させたうえで建物が建てられるため、通常の運用段階ではあまり意識することはないと考えられる。また、繰り返しになるが、全ての建物にこれらが規定されるのではなく、建物の規模・用途によって規定の有無や基準が異なってくる。

労働安全衛生規則による規定

労働安全衛生規則においても、そこで働く人が安全に作業をするための通路幅などが規定されている。

通路(労働安全衛生規則第540条)
事業者は、作業場に通ずる場所及び作業場内には、労働者が使用するための安全な通路を設け、かつ、これを常時有効に保持しなければならない。

屋内・機械間等に設ける通路(労働安全衛生規則 第542条、第543条)
用途に応じて安全な幅を確保すること。機械間または設備間の通路幅については幅80cm以上のものとしなければならない。通路面から高さ180cmいないには障害物を置いてはいけない。

危険物等の作業場における避難階段(労働安全衛生規則第546条、第547条)
危険物その他爆発性・発火性の物の製造または取扱いをする作業場を有する場合、
避難階には、地上の安全な場所に避難することできる出入口が2つ以上必要
出入口の戸は引き戸または外開戸でなければならない
避難階以外の階については、避難階または地上に通ずる直通階段かスロープが2つ以上必要
地上に通ずる直通階段のうち1つは屋外に設けなければならない

避難経路の障害物による被害拡大について

建物は原則として建築基準法に適合させて建てられるため、避難通路には十分な幅が確保されている。また、廊下幅や敷地内通路幅なども建物の規模・用途により規定されている。しかし建物を使用する中で、障害物となる物品等が置かれ、建築当初は十分にあった通路幅が狭くなってしまうことは少なくない。

障害物の例
・室内に設けられたキャビネットや設備、機械等
・仮置きされた仕掛品等
・置き場所の定まっていない備品等
・後付けされた室外機
など

消防法によって規定されている「避難の支障となる物品が放置されないよう管理すること」は、まさにこの観点である。避難経路の確保は、事業所における重要な予防管理業務のひとつである。同じく、防火区画形成のために設置されている防火戸等も、正しく運用しないと被害拡大に直結する恐れがある。

事業所において確保すべき通路幅とは?

第三者目線での確認について

過去に1,400件以上の工場に対して火災リスク診断をしてきた中で、特に製品・仕掛品などを仮置きすることの多い工場、流動的な備品や設備機器のある作業場、物量に変動のある倉庫などは、障害物となる物品が置かれやすくなる傾向がある。過去の火災に関する報道や研究においても、スムーズな避難ができず被害が拡大してしまった事例は多数あるが、日常的に見慣れてしまうとそれが異常であることに気づきづらくなると考えられる。平時の安全パトロールに加えて、第3者目線でリスクの洗い出しをおこなうのもおすすめである。

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また、なぜ通路の障害物となる物品が置かれるのかを突き詰めていくと、安全性よりも作業効率を優先させてしまうことや、様々な物品の本来の置き場所が定まっていないこと等が出てくることも多い。火災の発生や拡大は予期せぬ事象が重なって起こる不測の事態であることが多く、出火の可能性をゼロにすることは難しい。しかし万が一火災が発生した場合に、被害を拡大させないための予防対策は複数ある。前述の通り、消防法によって明言されている「避難のために支障とならないよう管理する」ことについては、リスク削減に直結するものであり、事業所として優先して取り組むべき課題である。

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