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2019年9月に発生し、鎮火までにおよそ半年を要したオーストラリアの大規模森林火災は世界中に衝撃を与えた。皆さまの記憶にも未だに新しいのではないだろうか。そしてつい先日、国内でも大規模な山火事が発生した。栃木県足利市にて発生したその山火事も、火災発生から9日という日数を費やしてようやく鎮圧にまで至った。この記事では普段馴染のない山火事について触れていきたい。
毎年3/1から3/7までの一週間で実施される春季全国火災予防運動、そして先日別記事にてご紹介した全国車両火災予防運動。そして実はもう一つ、実施されている予防運動がある。
それが”全国山火事予防運動”である。つい先日まで連日ニュースで取り上げられていた山火事だが、その予防運動が実施される目前の出来事となってしまった。
この予防運動の目的はその名のとおりで、『広く国民に山火事予防意識の啓発を図るとともに、予防対策を強化し、森林の保全と地域の安全に資すること』(令和3年全国山火事予防運動実施要網より抜粋)となっており、林野庁と消防庁主管の下実施されている。
では、全国山火事予防運動では具体的にどんな活動が行われるのか。
入山者、森林所有者、作業者、地域住民、小中学校の児童・生徒等を対象として、駅や市町村庁舎、学校、登山口等にポスター掲示、また新聞やラジオ、インターネット等の各広報媒体を活用して以下の項目を重点的に呼びかけている。
・枯れ草等のある火災が起こりやすい場所、また強風時はたき火等をしないこと
・たき火等の火気使用中はその場を離れず、使用後はかならず消火すること
・火入れ(土地を肥やすために枯れ草や雑木等を焼くこと)を行う際は市町村の許可を必ず受け、あらかじめ必要な防火設備を準備すること
・たばこは指定された場所で喫煙し、吸い殻は必ず消すとともに、投げ捨てないこと
・火遊びはしないこと、また、させないこと
また、その他にも関係機関が協力し、住宅地に隣接する森林での重点的なパトロールをおこなったりしているのだ。
そもそも山火事とは山や森が焼けることを指し、これを火災として捉えた場合には森林火災や山林火災、また林野火災等と表す。林野庁のデータによれば国内での山火事は直近5年間では年間あたり1,200件程度発生しており、1日あたりに換算すると日本のどこかで毎日3件の山火事が起きていることになる。小さな規模ではニュース等のメディアに取り上げられないため、この数字に驚く人も多いのではないだろうか。しかし先日発生した栃木県足利市の山火事のように、大規模なものに発展するのは稀なケースであると言っても良い。ちなみに大規模火災という言葉は広く一般的に使われているものの、具体的にその明確な基準が存在するわけではない。
山火事が長引く理由としては、主に『山地』という特殊な立地での火災発生による消火活動の難しさが挙げられる。
①放水に使用する水源の確保が困難なこと
②消防用ホースを火元まで伸ばすことが困難であり、また険しい山道等が障害となり消火活動を始めるまでに時間を要してしまうこと
③ヘリコプターによる上空からの散水は火災発生現場周辺への延焼防止という意味合いが強いこと
これらに加え、空気が乾燥したシーズンや強風といった条件が重なると広範囲となり、火災旋風(炎を伴うつむじ風)へ発展してしまうこともある。このような理由から、山火事は一度広がり出してしまうと鎮火までに大変な労力と時間がかかるのだ。
参考までに、『鎮圧』とは消火活動により火の勢いが弱くなった状態を意味し、『鎮火』とは火災が消火され消防隊による消火活動の必要がなくなった状態を意味する。
その発生原因であるが、林野庁から発表されているデータによれば、原因が明らかになっているものでたき火の割合が3割と最も多く、次いで火入れ、放火(疑い含む)、たばことなっている。落雷等による自然現象が起因する山火事は稀だそうで、悲しいことにそのほとんどが人間によるものなのである。
山・林野は私たちが生きていく上での大切な資源であり、自然界構築の一部である動物たちも多く生息している。全国山火事予防運動は一週間しかその期間がないわけだが、私たち人間は常にそのことを意識していかなければならない。
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