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火災2022.02.21

クリーンルーム汚損は企業の危機!本当に選ぶべき最適な消火器とは

半導体、食品、飲料品などの製造工程に欠かせないクリーンルーム。クリーンルームで危険物を取り扱う拠点のみならず、すべてのクリーンルームにおいて万全な火災対策が求められる。今回は主に半導体製造におけるクリーンルームの環境特性、火災事例、火災対策におけるリスク、そして最適な消火器について説明したい。

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クリーンルームの環境特性

クリーンルームとは異物の侵入が決して許されず、汚染に対して一定の制御が行われている空間だ。クリーンルームにおける異物の事例とクリーンルームの原則について確認しておこう。

業種別のクリーンルームにおける異物事例

ここでいう異物は業種によって異なる。代表的な業種および異物例は以下の通りである。目視できない異物であっても、不良品やクレームが発生するリスクがあり見過ごせない。

【クリーンルームを保有する工場内における異物例】

  • ・食品工場:金属やガラスの異物、虫、作業用の手袋、毛髪、プラスチック片、衣服等の繊維
  • ・電子部品工場:導通を妨げる繊維くず、過度の導通がある金属片、粒子、パーティクル(埃、ダスト)
  • ・電池工場:銅、アルミといった特定の金属片
  • ・フィルム工場:フィルムのスリットカス、シリンダーからの異物、静電気によるフィルムへの異物付着
  • ・搬送工場:コンベアカス、塗装粉
  • ・医療機器工場:繊維くず、皮膚片

 

クリーンルームの4原則

クリーンルームはこういった異物を侵入させないだけでなく、発生した異物を排除する仕組みが構築されている。クリーンルーム内に異物を持ち込まず発生させずに、清浄を保つための原則を「クリーンルーム」の4原則という。

【クリーンルームの4原則】

  • ・クリーンルーム内に外部の汚染物質を持ち込まない。
  • ・クリーンルーム内で汚染物質を発生させない。
  • ・クリーンルーム内に汚染物質を堆積させない。
  • ・発生または持ち込まれた汚染物質を速やかに排除する。

 

クリーンルーム内での作業ごとに、ISO規格やJIS規格によって清浄度が定められている。

クリーンルームでの火災事例

クリーンルームに異物を持ち込まず発生させない仕組みによって、火災検知が遅れた事例がある。2020年10月に発生したA社の半導体工場火災だ。鎮火するまでに4日を要し、とりわけ国内製造業への半導体供給に影響を与えたこの火災の出火元はクリーンルームである。火災発生後、火災報知器が発報するまでに規定以上の時間を要した理由は、クリーンルームの気流循環構造にあったという。詳しくはこちらの記事「半導体工場火災リスク」を参照されたい。

工場における火災は自社の従業員のみならず、製品や仕掛品、さらには顧客にまで多大なる影響を及ぼすリスクがある。クリーンルームがそのリスクを増大させるのであれば、クリーンルームに特化した火災対策が求められるのだ。工場における火災対策の基本は、火災の未然防止と迅速な初動および初期消火活動にある。これらの対策を講じるためには、製造現場およびクリーンルームの火災発生リスクの把握が必須だ。

一口に「半導体工場」といってもその工程はさまざまであり、同一の火災対策では万全といえない。設置されている製造装置や採用されているクリーンルーム特有の気流循環構造によって、火災のリスクは大きく異なるからだ。クリーンルーム火災のリスクの分析をお考えであれば、当社のサービスのひとつである「火災発生リスク簡易無料診断サービス」を活用していただきたい。プロの診断員による巡回診断や診断レポートの提出、さらには延焼させないための具体的改善策まで提案可能だ。詳しくはこちらの記事工場火災を未然に防ぐ火災発生リスク無料診断サービスのおすすめに記してある。

クリーンルームにおける火災対策と課題

クリーンルームの火災対策の具体例および、クリーンルームで火災対策を行うリスクについて確認しておこう。

クリーンルームの火災対策例

クリーンルームは環境こそ整備されているが、その多くは精密部品や食品の製造現場のため火災発生リスクは他の製造現場と変わらない。したがって火災の早期検知と初期消火が重要となる。クリーンルームの火災対策の主眼となるのは、火災を早期に検知して、警報を発報するシステムと製造装置内を対象とした自動消火システムならびにクリーンルーム内で使用する消火器の設置である。検知するシステムとしては、熱センサーや煙センサー、炎センサーが想定される。

クリーンルームに消火器を設置する際の注意点

クリーンルームの火災対策には、一般的な工場で求められる火災対策基準とは異なり、先述した「異物混入」や「汚損」のリスクがつきまとう。具体的な注意点を把握しておこう。

  • 粉末消火器を設置する場合

工場全般で汎用的に設置されるABC粉末消火器は、工場の法的な消火能力基準を満たすことができる。様々な火災に対応できる万能な消火器である。しかし、クリーンルーム内で粉末消火器が使用された場合、粉末消火薬剤の微粒子飛散による汚損が広範囲に拡大してしまう。汚損されたクリーンルームを規定の清浄度まで回復するためには、生産活動の停止が余儀なくされる。

  • クリーンルーム内に危険物がある場合

クリーンルーム内で製造する製品によっては、多種多様な危険物が保管されている。例えば、引火性液体や可燃性液体などの有機溶剤である。危険物の消火については、火点の飛散を防止し、限定された範囲で迅速な消火を行う必要性がある。それらの火災に適した消火薬剤の選定をすることでより確実に消火をすることができる。

  • 適切な維持管理が行われていない場合

クリーンルームでの火災対策においては、こういったリスクをはらんでいることから、通常の製造現場以上に慎重な対応が求められる。

クリーンルームに適した消火器

クリーンルームの特性、火災が発生した場合の損害の大きさ、そしてクリーンルーム内で消火器を使用した際の復旧の観点を踏まえた上で、クリーンルーム内への最適な消火器を紹介したい。

クリーンルーム全般に適する「ピュアウォーター消火器」

引火性液体、可燃性液体などの危険物を取り扱わないクリーンルームに最適な消火器が「ピュアウォーター消火器」である。本製品の最大の特徴は、製造の段階から不純物を取り除いた純水ベースの水系消火薬剤である点だ。放射後の残留物がほとんどないため、迅速に生産活動の復旧が可能となる。また、電気伝導率が10μS/cmと極めて低く、電子機器への二次被害を極小化できるため、クリーンルーム内へ設置する最適な消火器と言えるだろう。

危険物を取り扱うクリーンルームに適する「機械泡消火器」と「耐アルコール機械泡消火器」

危険物を取り扱うクリーンルームに適しているのは「機械泡消火器」と「耐アルコール機械泡消火器」だ。いずれも油や溶剤への消火に向いている。消火薬剤を放出すると、危険物の表面に不溶性の膜が形成され、燃焼面を覆って消火するため、べーパー(蒸気)発生防止や再燃・延焼防止が可能となる。また、粉末消火薬剤と比較して汚損が少ないことも特徴である。

まとめ

クリーンルームは異物の混入が許されない製造業において、異物の侵入を徹底的に排除した空間である。クリーンルームの環境特性を十分に理解した上で、初期消火活動のみならず、クリーンルーム内の汚損を最小限に抑えられる最適な消火器を選んでいただきたい。また、『火災発生リスク簡易無料診断サービス』を活用して、現在の火災発生リスクとその対策を把握できれば、なお火災リスクを低減できるといえよう。

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