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火災2021.04.28

リチウムイオン電池に潜む火災リスク

私たちの生活を便利に、そして豊かにしてくれているスマートフォン等のモバイルIT機器。それらを使う際に欠かせないバッテリーとして活躍中のリチウムイオン電池。今や"世界のインフラ"とも呼ばれ必要不可欠なものとなっている。しかし、そのリチウムイオン電池からの火災事故が起こっているのもまた事実なのだ。このコラムでは、そんなリチウムイオン電池の火災リスクについてお届けする。

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本記事ではリチウムイオン電池に関する火災リスクについてまとめるが、事業所の火災リスクを総合的に検証したい際は、第3者目線でリスクの洗い出しをおこなうのもおすすめである。

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リチウムイオン電池とは

まずリチウムイオン電池と聞くと、身近なところでスマートフォンやパソコン等のバッテリーを想像する方が多いのではないだろうか。その他にも最近ではドローンや電気自動車、人工衛星等にも搭載されているという。2019年12月にリチウムイオン発明者の一人である吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞したことも記憶に新しいが、実はリチウムイオン電池が世に登場したのは1980年代と30年も前のことなのだ。

さて、そのリチウムイオン電池。あらためてどんな電池かというと、プラスとマイナスの電極間をリチウムイオンという金属を含んだ化合物が動くことで受電や放電ができる電池を指す。特徴としては、小型で軽量、高電圧を生み出すことが可能。加えて急速充電性能が高く、繰り返し充電による摩耗の影響も少ないという、まさにハイスペックな電池なのだ。

放電のみの一次電池に対して、繰り返し充電ができるものを二次電池と言い、リチウムイオン電池はその二次電池に該当するわけだが、その他にも車のバッテリーとして使われている鉛蓄電池、一昔前は充電池として主流だったニカド(ニッケル・カドミウム)電池、またそのニカド電池の倍以上の電力を持ち充電式電池としてメジャーなニッケル水素電池等がある。

リチウムイオン電池と火災のリスク

前述のとおり、リチウムイオン電池はまさに夢のような電池であるが、世の中完璧というものは中々なく、リチウムイオン電池もその例外ではない。これまでにリチウムイオン電池による火災が世界中で幾度となく発生しているが、国内では一体どのくらいの頻度で発生しているのか。

リチウムイオン電池関連の火災状況(2021年4月16日時点の東京消防庁公表データを参照)

上記のデータからもわかるとおり、幸いにも死者は出ていないようだが平成27年~令和元年の5年間で平均すると1年間で64件、リチウムイオン電池関連の火災が発生している。この数字を多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれであるが、年々その数字は確実に伸びている。また、”製品用途別”に見ると次のとおりとなる。

製品用途別火災状況

やはり一番多いのはスマートフォンやパソコンのバッテリーであり、次いで多いのが掃除機ということだ。スマートフォンと同じで、掃除機もどの家庭、どの会社にも置いてあるのではないだろうか。

ゴミ処理施設、リサイクル工場での火災?

基本的にモノというのは寿命が来たり、使われなくなると捨てられてしまうものだが、リチウムイオン電池も同じくそうである。そして今、この廃棄方法が問題となっている。リチウムイオン電池は電気屋さんや各市区町村の役所に設置されている専用の回収ボックスに廃棄しなければいけないという決まりがあり、様々な団体が廃棄方法とその重要性について訴求しているが、まだまだ浸透しきっていないのが実状である。

では、なぜ間違った方法で廃棄をされると問題なのか。それは、”火災に繋がるリスクが増す”からである。

一般ゴミやプラスチックゴミとして廃棄されてしまうと、ゴミ処理施設やリサイクル工場へ運ばれるわけだが、そういった施設では大きさや種類、様々なものが合わさった状態で粉砕機等によって圧縮されていく。その工程で火災が発生してしまうのである。リチウムイオン電池はそれ自体に大きな力が加わったり変形することでショート・発火する恐れがあるため、粉砕機で圧縮されたリチウムイオン電池から発火し、周囲のゴミへと燃え移ってしまい、最悪大規模火災へ発展してしまう可能性があるのだ。また、ゴミ処理施設だけでなく、ゴミ収集車においても同様の火災事故が起きている。

どんな火災対策を行うべきか

では、どうしたらそのような火災事故を防げるのだろうか。廃棄方法についての周知をもっと強化していく必要性はあるが、100%防ぐというのは現実的に難しいと言える。しかし、その火災被害を極小化させる手段はあり、まずそのためには火災発生を”早期に覚知”するということが重要だ。

ごみ処理施設等のケースでは、通常の煙感知器や熱感知器等では火災の覚知に時間がかかることが予想される。また、現場にいる”人の目”による早期発見も困難なようだ。しかし、煙が出始めた段階で発生する”一酸化炭素を捉えるセンサー”、また温度測定を行えるセンサーであれば、初期段階における早期発見が見込める。

もちろんその後は消火も必要になってくるため、消火についても検討する必要がある。火災を覚知・検知する方法、消火する方法。これらの対策はそれぞれの現場状況によって変わってくるが、最適な提案・対策を行うことが初田製作所の役割である。お困りであればぜひお気軽にご相談いただきたい。

最後に

ヒトはリチウムイオン電池という素晴らしいものをこの世に生み出した。そして、その”使い方”もまた、私たちヒト次第なのである。安全に正しく使用すること、そして社会の中で決められたルールに則った運用が行えればリチウムイオン電池の火災はそうそう起きないはず。しかし、通常に使用していても出火する可能性があるということ、どんな状況であれ火災が起きれば大切な命、財産等を失ってしまう可能性があるということ。ぜひ皆さまの心にも留めておいていただけたら幸いである。

関連リンク

◆初田製作所  製品ページ『各種センサー』

◆東京消防庁『リチウムイオン電池からの火災に注意しよう』

◆環境省 リチウムイオン電池の廃棄に関する呼びかけ

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