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火災2023.10.09

火災リスクを極小化するために危険物を正しく知ろう【Vol.2危険物火災の捉え方】

日々日本のどこかで発生している火災発生原因の1つとなる危険物。危険物は危ないものという考えは間違いないが、危険物がそもそもどういうものか、どのように火災発生に繋がっているかを正しくご存じだろうか。火災は自然災害とは全く異なり、発生リスクの根源を特定することで極小化を目指すことができる。火災リスクを極小化するために危険物を正しく知ろう 【Vol.1危険物の基礎】では危険物の入門編となる基本的な知識を解説した。続いて、本記事【Vol.2】では、危険物と火災の相関について、統計情報を交えて詳しく解説していきたい。

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最新統計から確認する危険物火災の現状

令和4年度消防白書によると、令和3年度中に発生した危険物施設における火災事故の発生件数は224 件となっている。直前9年間(平成24年~令和2年)の平均を取ると約203件なので、増加率は約10%となり、現在でも危険物施設の火災は増加傾向であることがわかる。(引用元)令和4年度消防白書p72:第1-2-2図

内訳から見る危険物火災の実態

さらに危険物火災の実態を把握するためには、危険物施設の火災事故の発生件数224件を複数の内訳で見ていく必要があるだろう。令和4年度消防白書の統計情報をもとにひも解いていきたい。

(引用元)令和4年度消防白書p72~73:第1-2-3図~第1-2-5図

危険物施設別

一般取扱所(134件/59.8%)が最も多く、次いで製造所(44件/19.6%)、給油取扱所(35件/15.6%)の順となっており、これら3施設区分の合計で全体の95.1%を占めている。特に工場に共通して見られるのは、製造所と一般取扱所であるため、危険物工場への火災対策の優先度が高いのは言うまでもないだろう。

発生要因別

人的要因が120件(53.6%)、物的要因が61件(27.2%)、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが43件(19.2%)となっている。いずれもヒューマンエラーが主要因となっていることがわかる。

着火原因別

静電気火花が50 件(22.3%)と最も多く、次いで過熱着火が26 件(11.6%)、高温表面熱が23 件(10.3%)、電気火花が23 件(10.3%)となっている。その他に裸火、火花、自然発熱、摩擦熱、化学反応熱などがある。着火の状況が顕在化されるものと潜在化されたものの両方があるが、後者の場合は原理原則だけでなく、過去の事故対策事例が重要となってくる。

出火原因物質別

危険物が出火原因物質となっているのは110 件(49.1%)となっており、引火性液体(第4類危険物)は101件(45.1%)と危険物の出火原因物質としては91.8%を占めていることがわかる。引火性液体は汎用性が高く、あらゆる用途の建物で貯蔵や取り扱いをしていることが想定される。最も火災対策の優先度が高い種別であると言えるだろう。

その他出火原因物質114件(50.9%)は危険物以外のもの

引火性液体とは

統計情報をもとに危険物火災の実態を分析した結果、引火性液体(第4類危険物)の火災対策は避けて通れないことがわかったであろう。引火性液体とは、引火点を有する液体のことを指す。引火性液体を簡易的に以下の表にまとめたので参考にされたい。

引火性液体を知る上での指標

引火点

引火とは、可燃性液体や固体を加熱していくと、小さな点火炎により燃焼が始まる現象を指す。引火が起こる最低温度を引火点といい、火の着きやすさを示す指標として用いられる。可燃性液体の温度がその引火点より高いときは、火源(裸火や火花など)により引火する危険がある。引火点の低いものほど燃焼の可能性が高く、リスクが高いと言える。

発火点

燃焼の開始を発火あるいは着火という。空気中で可燃性物質を加熱していくと、火源(裸火や火花など)がなくても発火に至る。このときの温度を発火温度や発火点という。発火点は固体に限らず、液体や気体についても測定可能である。

※引火点と発火点の違い

ガソリンと灯油は日常生活で燃料というくくりでは同じジャンルになるが、危険物としては全く性状の異なるものであることがわかる。ガソリンは火源があれば、-40℃付近でも火が着くため、乾燥した冬場の静電気なども注意が必要だ。給油の際にはガソリンスタンドの静電気除去パッドは確実に触っておきたいところだ。一方で火源がなく危険物を徐々に加熱していった場合は灯油の方が早く火が着くことになる。ガソリンや灯油を意図的に加熱する機会は工場を除きほとんどないかと想像するが、真夏の直射日光など液温が上がらないよう、ガソリンは携行缶で灯油はポリタンクで冷暗所に保管するのは言うまでもないであろう。

まとめ

危険物火災の統計情報をひも解くとことで、火災発生状況の傾向がわかるとともに、今後重点的に火災対策をおこなうべき箇所をあぶり出せることがわかる。また、数多くの危険物の中でも引火性液体(第4類危険物)が危険物火災対策の鍵を握っていることがわかる。【Vol.3危険物火災の対策】では過去の事例を交えながら詳しく解説していく。一方、危険物火災の具体的な火災対策については、各社の事業環境や管理状況に合った最適な対策が求められる。総合防災メーカーである当社では多種多様な消火設備を取り扱っていると同時に、火災発生リスク簡易無料診断サービスも提供している。独自の火災対策についてお悩みの方は、ぜひ当社にご相談いただきたい。

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