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防火区画は建物内で火災の拡大を防ぐために設けられた重要なエリアで、建築基準法によって防火区画の整備が義務付けられています。
当記事では、防火区画の設置義務がある建物やその種類、設置方法、さらには各区画の緩和・免除に至るまで詳細に解説します。
目次
防災区画とは、建物内で火災が発生した際に火災の拡大を最小限に抑えるために設けられる特定のエリアのことを指します。
これらの区画は、火災が発生した際に火や煙が他のエリアに広がるのを防ぐ役割を果たし、建物内の安全性を高めるために非常に重要です。建築基準法によって防災区画の設置が義務付けられており、特に大規模な建物や高層建築物において厳格な基準が設けられています。
防火区画の設置義務がある建物は、主にその規模や用途に応じて定められています。建築基準法では1,500㎡以上の延べ面積の建物や特定の用途に供される建物に対して、防火区画の設置が義務付けられています。例えば、商業施設やオフィスビル、病院、学校などの公共施設は多くの人々が利用するため、火災時の安全確保が特に重要です。
また、高層建築物や地下街なども防火区画の設置が求められることが多いです。これらの建物は火災が発生した際に避難が困難になる可能性が高いため、火災の拡大を防ぐための対策が必要です。さらに、工場や倉庫などの産業施設も火災のリスクが高いため、防火区画の設置が義務付けられています。
防火区画の設置義務は、建物の新築時だけでなく増改築や用途変更時にも適用されることがあります。したがって、建物の設計段階から防火区画の設置を考慮することが重要です。これにより、火災時の被害を最小限に抑え利用者の安全を確保することができます。
防火区画は、建物内で火災の拡大を防ぐために設けられる重要なエリアです。防火区画には4つの種類があり、それぞれの設置方法も異なります。
面積区画とは、建物内の特定の面積ごとに防火区画を設けることで、火災の拡大を防ぐための重要な手段です。建築基準法では、建物の用途や構造に応じて、一定の面積ごとに防火区画を設けることが義務付けられています。
主要構造部を耐火構造とした建築物または準耐火建築物で10階以下のものであれば、1,500㎡ごとに防火区画を設ける必要がありますが、構造や建物の種類によっては1,000㎡、500㎡となることがあります。
面積区画の設置には、耐火性能を持つ壁や床、天井を使用することが求められます。これにより、火災が発生した場合でも火が他の区画に広がるのを防ぎ、避難や消火活動を円滑に行うことができます。また、面積区画内には防火扉や防火シャッターを設置し、火災時には自動的に閉鎖される仕組みを導入することが一般的です。
高層階区画は、11階建て以上の建築物に対して一定の面積ごとに設ける防火区画で、特に高層ビルやマンションなどの多層建築物において重要な役割を果たします。高層階では火災が発生した場合避難経路が限られるため、火災の拡大を防ぐための対策が一層求められます。防火区画の設置により、火災が一つの階層に留まることで、他の階層への延焼を防ぐことができます。
高層階区画の設置方法としては、耐火性能を持つ壁や床を使用することが一般的です。また、避難経路となる階段やエレベーターシャフトも、防火区画の一部として設計されることが多いです。これにより火災時に安全に避難できるようになります。
さらに、高層階区画には防火扉や防火シャッターの設置も重要です。これらの設備は、火災が発生した際に自動的に閉じ、火の進行を食い止める役割を果たします。特にエレベーターシャフトや階段の入り口に設置されることが多く、避難経路の安全性を高めます。
竪穴区画とは、建物内の階段やエレベーターシャフトなどの、縦方向に連続する空間を防火区画で仕切ることを指します。これにより、火災が発生した際に火や煙が上下階に広がるのを防ぎ、避難経路の安全性を確保することができます。
竪穴区画の設置は、特に高層建築物や地下施設において重要です。これらの建物では、火災が発生した場合に煙が上昇しやすく、迅速な避難が求められるため、竪穴区画の適切な設置が不可欠です。
具体的な設置方法としては、耐火性能を持つ壁や扉、シャッターなどを用いて竪穴部分を区画します。また、エレベーターシャフトには防火扉を設けることが一般的です。これにより、火災時に自動的に閉鎖され、煙や火の侵入を防ぐことができます。
異種用途区画とは、一つの建物内に異なる用途の部屋やエリアが混在している建物に設けられる防火区画のことです。例えばオフィスビルの中に飲食店が入っている場合や、商業施設内に住宅が併設されている場合などが該当します。これらの異なる用途のエリアは、それぞれの火災リスクが異なるため、火災が発生した際に火の拡散を防ぐために特別な防火対策が必要となります。
異種用途区画は建築基準法に基づいた厳格な基準が設けられており、耐火性能の高い壁や扉・天井などを使用することが求められます。特に飲食店や工場など火災リスクが高いエリアでは、より強固な防火対策が求められることがあります。
防火区画の貫通部分は、火災時に火や煙が他の区画に広がるのを防ぐために非常に重要です。貫通部分とは、配管や配線・ダクトなどが防火区画を通過する箇所を指します。これらの部分が適切に処理されていないと、火災時に防火区画の効果が大幅に低減される可能性があります。
まず貫通部分の処理には、耐火性のある材料を使用することが基本です。耐火パテや耐火シーリング材を用いて、貫通部分をしっかりと封じることが求められます。また、配管や配線が通る穴の周囲に耐火ボードを設置することも有効です。
スパンドレルとは、防火区画に接する外壁に設置する設備の一種で、窓等の開口部から炎が回り込むことを防ぐ機能を持っています。面積区画・高層区画・竪穴区画の防火区画を設けている建築物において、防火区画の機能を維持するために必ず設置しなくてはなりません。
スパンドレルの材料には耐火性能が求められ、鉄筋コンクリートや耐火ガラスなどが使用されます。これにより、火災時の高温にも耐えられる構造となります。
防火区画の設置は建築基準法に基づいて厳格に定められていますが、特定の条件を満たす場合には緩和や免除が認められることがあります。
防火区画の設置において、消火設備の設置は非常に重要な役割を果たします。特にスプリンクラー設備や泡消火設備、その他これらに類する自動式の消火設備が適切に設置されている場合、防火区画の面積要件が緩和されることがあります。これは、消火設備が火災の初期段階で迅速に対応し、火災の拡大を防ぐ効果が期待できるためです。
建築基準法では、スプリンクラー設備が設置されている場合、通常の防火区画の面積要件を超えることが許可されるケースがあります。具体的な緩和条件や適用範囲は、建物の用途や規模、設置されている消火設備の種類によって異なりますが、これにより設計の自由度が増し、より効率的な空間利用が可能となります。
建築物の用途や設計上の理由から、防火区画の設置が困難な場合があります。映画館・劇場・体育館や工場などでは広い空間を必要とするため、面積区画を設けることが難しいことがあります。このような場合、建築基準法では特定の条件を満たすことで面積区画の免除が認められることがあります。
具体的には、建物の用途や構造、使用する材料などに応じて適切な防火対策が施されていることが条件となります。耐火性能の高い材料を使用したり、自動式の消火設備を設置したりすることで、面積区画の免除が認められることがあります。また、避難経路の確保や防煙対策なども重要な要素となります。
建物の構造や用途によっては、竪穴区画を設けることが難しい場合があります。このような場合建築基準法では、用途上やむを得ない場合、竪穴区画の免除が認められることがあります。
免除の一例として、避難階の直上階or直下階どちらか一層のみに通じる吹き抜けを設けた際、吹き抜けに繋がる部分すべての下地と仕上げを不燃材料で造ることで、免除が認められることがあります。
防火区画の設置は、建物の用途・規模・構造に合わせて設定されます。これらは延焼拡大を抑えるためのものですが、建築時にだけ考慮すればいいものではありません。区画を形成するシャッターや防火戸が正常に作動しないと、本来備わる機能が発揮されず延焼被害を拡大させる恐れがあります。
具体的には、防火戸にストッパーが設けられていないか、防火シャッターの降下部に障害物が置かれていないかなど、運用上の維持管理も重要な項目となります。適正な運用ができているかを管理するには巡回等が必要ですが、第三者によるチェックも有効です。
防火区画は、建物内で火災の拡大を防ぐために非常に重要な役割を果たします。建築基準法によってその設置が義務付けられているため、適切な設置と管理が求められます。防火区画の種類には、面積区画、高層階区画、竪穴区画、異種用途区画などがあり、それぞれの設置方法や注意点を理解することが大切です。また、防火区画の貫通部分の処理やスパンドレル設置についても細心の注意を払う必要があります。
さらに消火設備の設置による面積区画の緩和や、用途上やむを得ない場合の面積区画の免除、竪穴区画における免除など、特定の条件下での緩和・免除も存在します。これらの規定を正しく理解し適用することで、安全性を確保しつつ建物の設計や運用に柔軟性を持たせることが可能です。
防火区画の設置と管理は建物の安全性を高めるために欠かせないため、適切な知識と対策を持って、火災から人命と財産を守るための取り組みを行いましょう。火災対策でお悩みの方は、初田製作所へご相談ください。
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