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火災2025.06.20
企業で火災対策を考えるとき、見慣れない用語が出てきてお困りのご経験はないでしょうか。本記事では、企業での火災対策を講じるときや、建物の管理者向けに法律用語や関連用語をわかりやすく解説していきます。こちらの記事をご一読いただくことで、ボーサイナビット上の他の記事の理解度も深まることでしょう。ぜひご活用ください。
目次
日本では、建物の防火管理を消防法と建築基準法で分担しています。火災対策を講じる上で、どちらも知っておくべき法律となります。消防法は原則として、常に最新法令に適合することが求められています。
●消防法:防火管理などのソフト面や消防用設備の設置規制が定められており、円滑な消火消防活動に重きが置かれています。
●建築基準法:主に建物そのものの防火対策を担っており、火が燃え広がらないような最低限の仕様を定めています。
消防用設備とは、消防法で定められている「消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設」に該当する設備のことです。大きな目的は「火を知らせること・消すこと・避難すること」にあります。
消防用設備の種類は下記のとおりです。
消防の用に供する設備 | 消火設備 | 屋内消火栓設備 |
屋外消火栓設備 | ||
ハロゲン化物消火設備 | ||
二酸化炭素消火設備 | ||
水噴霧消火設備 | ||
粉末消火設備 | ||
泡消火設備 | ||
スプリンクラー設備 | ||
動力消防ポンプ設備 | ||
消火器 | ||
簡易消火用具 | ||
警報設備 | 自動火災報知設備 | |
消防機関へ通報する火災報知設備 | ||
漏電火災警報器 | ||
ガス漏れ火災警報設備 | ||
非常警報器具 | ||
非常警報設備 | ||
避難設備 | 避難はしご、救助袋、緩降機、すべり台など | |
誘導灯、誘導標識 | ||
消防用水 | 防火水槽など | |
消火活動上必要な施設 | 無線通信補助設備 | |
非常コンセント設備 | ||
排煙設備 | ||
連結散水設備 | ||
連結送水管 |
施設ごとに適切な消防設備は異なります。最適な消防設備一覧はこちらでご紹介しています。
消防用設備と似た言葉で「防火設備」というものもあり、こちらは建築基準法で定められています。大きな目的は「火災の延焼や拡大を防止すること」にあります。具体的には、防火シャッター・防火戸・ドレンチャー設備などがあてはまります。
防火設備の種類は下記のとおりです。
特定防火設備 | 1時間の遮炎性能をもつ設備 |
防火設備 | 20分の遮炎性能をもつ設備 |
特定防火設備を用いることで、炎や煙がより広がりにくくなります。
特定防火設備・防火設備は防火区画を設定する上で必要となります。防火区画については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
防火対象物とは、「山林または舟車、船きょもしくはふ頭に係留された船舶、建築物、その他の工作物もしくはこれらに属する物」のことです。簡単に説明すると、「山や森、船や車といった乗り物、船を建造するための設備、建物」のことです。
このうち、一戸建て住宅や長屋以外の建物には、消防用設備等の設置・維持・点検が義務付けられています。建物の広さや用途によっては、有資格者による点検が必要となります。
消防用設備点検については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
防火対象物のほかに、消防対象物という言葉もあります。消防対象物とは、「山林または舟車、船きょもしくはふ頭に係留された船舶、建築物、その他の工作物または物件」のことです。
防火対象物との違いは、建築物と無関係な物件(例:河川敷の枯れ草など)を含んでいる点です。消防対象物の方が広く定義されていて、消防対象物の中に防火対象物が含まれているという関係になります。
防火対象物のうち、不特定多数の人が出入りする施設、幼児や老人・身体的知的弱者などの施設については「特定防火対象物」として定められており、上記の防火対象物一覧の黄色ぬりつぶし部分が当てはまります。消防用設備の設置基準が厳しいほか、防火管理についても厳しい規制を受けます。「特定防火対象物」の中には、「複合用途防火対象物」や「特定一階段等防火対象物」が含まれるため、当てはまる場合は注意が必要です。
特定防火対象物以外の建物(学校や特定の人のみが使用する施設など)は「非特定防火対象物」とされています。
「複合用途防火対象物」とは、2つ以上の用途を含む防火対象物を指し、簡単に言うと雑居ビルのことです。一つの建物の中に、事務所や住居、飲食店などのさまざまな用途が含まれているという建物で、用途の中に一つでも「特定防火対象物」が含まれている場合、その建物全体が「特定防火対象物」として扱われます。
「特定一階段等防火対象物」とは、地階または3階以上の階に特定防火対象物があって、内階段が1つしかない防火対象物のことです。
防火管理者とは、一定条件以上の防火対象物において定める必要があり、防火上の管理・予防・消防活動を行う者のことです。具体的な業務としては、下記となります。
・消防計画の作成・届出
・消防計画にもとづいた消火・通報・避難訓練の実施
・消防用設備等の点検や整備、避難または防火上必要な構造および設備の維持管理
・火気の使用・取扱いに関する監督
・その他、防火管理上必要な業務
防火管理者については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
統括防火管理者とは、主に「複合用途防火対象物」において選任が必要な防火管理者です。雑居ビル等は火災発生時のリスクも高くなるため、複数の防火管理者を取りまとめる統括防火管理者を定める必要があります。
統括防火管理者を定める必要のある防火対象物(管理権限が分かれているもの)
・高さ31mを超える高層建築物
・3階以上の建築物(地階を除く)で、収容人数が10人以上の要介護者向け施設
・3階以上の建築物(地階を除く)で、収容人数が30人以上の特定防火対象物
・5階以上の建築物(地階を除く)で、収容人数が50人以上の特定用途を含まない複合用途防火対象物
・地下街(消防長又は消防署長が指定したもの)
・準地下街
火災予防や災害の予測・行動を適切に行うためには、専門用語を正しく理解することが重要です。本記事では、消防法などでよく使われる用語について、それぞれの意味や役割をわかりやすく解説しました。火災対策を怠ることのないよう、適切な対策を行いましょう。
初田製作所では、火災発生リスク診断サービスを実施しています。消防法で定められている消防設備点検とは異なり、「プロの目線で火災発生のリスクを洗い出す」ことを目的としたサービスです。防災・火災対策で困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
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