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火災2021.04.09

電気設備や立体式駐車場に多く設置されている『二酸化炭素消火設備』とは

二酸化炭素を使用した消火設備は、水消火では対応が不向きな電気設備や立体式駐車場に多く設置されているが、窒息による人命への安全対策についても十分に留意する必要がある。
令和2年12月、愛知県名古屋市内の立体駐車場で発生した誤放射事故。また令和3年1月、東京都港区ビルの地下1階の駐車場で発生した誤放射事故。どちらも点検等の作業中に事故が発生し、人命が失われてしまった。この記事では、二酸化炭素消火設備について解説していきたい。

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二酸化炭素の性質

二酸化炭素(炭素ガスCO2)は無色無臭の気体であって毒性は少なく、空気中にも存在している。比重は空気より重く、常温常圧において空気を1とすると1.53倍となる。

二酸化炭素濃度による影響

大気中・・・・0.03%
頭痛や脳貧血を起こす・・・3~4%
致命的仮死状態・・・・・・15%
致死量となる・・・・・・・30%以上
二酸化炭素消火設備基準設計濃度・・・・おおよそ35%

 

二酸化炭素消火設備とは

水・泡等の消火薬剤が不向きな発電機・変圧器・その他これらに類する電気設備が設置されている場所や通信機器室、ボイラー室・乾燥室など多量の火気を使用する施設、また立体式駐車場等に適している。
“電気設備等の高価な設備を、効果的に、そして損害を極力抑えながら消火したい” そのようなニーズに応えたクリーンな消火システムなのだ。

しかし二酸化炭素消火設備は、基準設計濃度からもおおよそ35%での消火となるため、窒息による人命への安全対策に十分に留意する必要がある。

二酸化消火設備の特徴

①電気絶縁が大きい
②ガス化してどのような場所にも浸透する
③機器等を破損、腐食、損傷しにくい
④消火剤の変質が無く、長期間貯蔵できる
⑤安価である

二酸化炭素消火設備の構成について

二酸化炭素貯蔵容器

大半は高圧式で、緑色の容器に貯蔵されている。
・防護区画以外の場所に設けること
・温度40℃以下で温度変化が少ない場所に設けること
・直接日光および雨水のかかるおそれの少ない場所に設けること

二酸化炭素貯蔵容器は高圧ガス保安法に該当し、高圧ガスの貯蔵は経済産業省令で定められている技術上の基準に従って設置しなければならない。

手動起動装置

二酸化炭素放射エリアの入口等に設置されており、火災を確認し手動で二酸化炭素消火設備を起動するときに使う。扉の開放と連動して音声警報を発する構造になっている。

充満表示灯

二酸化炭素放射エリアの入口の見やすいところに設置してあり、二酸化炭素が放射された旨を表示するために設置されいる。

スピーカー

二酸化炭素放射エリア内に設置されており、放射エリア内にいる人に二酸化炭素消火剤が放射することを知らせ、避難を促すもの。

制御盤

手動起動装置や感知器から信号を受け、音声警報装置の作動、二酸化炭素消火薬剤の放射、放射後の充満表示灯の点灯などを制御する。

 

取り扱い上の注意について

先にも述べたとおり、二酸化炭素消火設備は効果的かつクリーンな消火が行えるが、使い方を誤れば人命の危機に関わってくる。そのため、取扱い方法を十分に理解し、火災時には適切な対応をとれるようにしてほしい。火災時の設備作動時、また万が一の誤放出時、放出区画やその付近にもし人がいた場合は直ちに避難を促そう。
非難口等の開口部についても、設備作動時にその閉鎖機能が正常に働くよう日頃からの維持管理も重要だ。
消防庁からも、「全域放出方式の二酸化炭素消火設備の安全対策ガイドラインについて」というものが通知されているのでぜひご覧になっていただきたい。

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点検について

消火設備はその性質上、常時は使用されることがないが、火災時には正常に作動することが求められる。この特殊性からも普段の保守管理が必要となり、法的にも定期的な点検及びその報告が義務付けられている。

消防法 第17条の3の3: 有資格者による定期の点検及び報告の義務
消防法 第44条: 報告せず、または虚偽の報告をした者にたいする罰則
消防法施行令 第36条: 有資格者による点検を行なわなければならない
消防法施行規則 第31条の4: 点検期間、報告期間、点検方法、及び報告書

点検の種類及び期間

点検の種類には、外観点検、機能点検、及び総合点検があり、その期間については以下に示す通り。
外観機能点検:6ヶ月に1回
総合点検  :1年に1回

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