火災事例・火災対策事例 飲食店 火災リスク

【防火のプロが解説】飲食店で起こった5つの火災事例から見える、飲食店での火災対策

飲食店を経営する上で、最も避けなければならないリスクの一つが「火災」です。飲食店は火やガスを取り扱うことから、火災リスクが多く存在する場所です。一度火災が発生すれば、店舗の損害だけでなく、従業員やお客様の命、さらには近隣店舗への延焼など、取り返しのつかない事態を招きかねません。
しかし、火災の恐ろしさを知っていても、「具体的に何をすればいいのか」「自分の店で何が危ないのか」を正確に把握できている経営者の方は意外と少ないのが現状です。

本記事では、過去に飲食店で発生した5つの火災事例を分析。そこから見えてくる、飲食店における防火のポイントを専門家の視点で解説します。

    飲食店における火災の現状とリスク

    消防庁の統計によると、飲食店での火災件数は1年間で573件(令和6年(1~12月)における火災の状況(確定値)より-総務省消防庁)。1日に約1.5件火災が発生していることになり、今日もどこかの飲食店で火災が発生しているといえます。その理由は、火気を日常的に使用することに加え、油、電気、ガスが狭い空間に密集しているためです。

    飲食店で火災が起きると、下記のような被害につながる可能性があります。

    • 人的被害:お客様や従業員におけるケガ・火傷など
    • 経済的損失:建物や什器の焼失、休業補償、再建費用
    • 社会的信用の失墜:顧客や取引先からの信頼低下
    • 賠償責任:延焼による近隣への損害賠償や、人的被害に対する慰謝料

    火災による被害防ぐためには、過去の「火災事例」から学ぶことが最も効果的です。

    飲食店で発生した火災事例5選

    飲食店での火災事例をご紹介します。なお、火災原因などは調査中のものも含んでおります。

    1.可燃物への延焼による飲食店火災

    ・発生場所: 東京都杉並区の雑居ビル
    ・発生時期: 2009年11月
    ・火災の原因:カウンターの焼き場で発生した炎が、天井の飾り布に燃え移り引火
    ・被害:4名死亡、12名負傷
    ・問題点:
     ① 維持管理不足:業務用厨房設備の維持管理(清掃、点検、整備など)が実施されていなかった
     ② 可燃物の近接:飾り布(可燃物)に引火したことにより、火災が広がった
     ③ 避難経路の確保不足:店舗の正面出入口以外が、施錠や障害物により使用できなかった
     ④ 消防設備の維持管理不足:自動火災報知設備の配線に断線箇所があったが、修理せずに放置していた
     ⑤ 防火意識、教育不足:防火管理者は選任されていたが、従業員への教育や訓練は実施されず、防火意識が低かった

    火災のあった建物は地上5階、地下2階の雑居ビルで、飲食店や遊技場などが入っていました。2階の飲食店から火災が発生し、消火器による初期消火も実施されたものの、逃げ遅れ等により死者が出るほどの大きな火災となりました。

    2.加熱放置による商店街での大規模火災

    ・発生場所:福岡県北九州市
    ・発生時期: 2022年8月
    ・火災の原因:天ぷら鍋に油凝固剤を投入し火をかけたまま、その場を離れたことにより炎上
    ・被害:人的被害なし、商店街の約40店舗が焼失(約2,000㎡焼失)
    ・問題点:火をかけた後、その場を離れてしまった

    出火元の飲食店関係者は「天ぷら鍋に油凝固剤を投入したあと加熱し、その場を離れ洗い物をしていて、気づいたら炎上していて、消そうとしたが消えなかった」と話していたそうです。
    家庭用のコンロは「Siセンサー」(調理油加熱防止装置、立消え安全装置、消し忘れ消火機能などが搭載されている安全センサー)が搭載されているコンロの設置が義務づけられていますが、業務用のコンロにはSiセンサーなどの安全装置の設置が義務ではありません。また家庭用に比べて火力も強く、うっかり忘れてしまったというヒューマンエラーが火災につながりやすいという特徴もあります。

    飲食店における出火原因第1位は「コンロ火災」だということを意識しましょう。

    3.無煙ガスロースターによるダクト火災

    ・発生時期: 2006年4月
    ・火災の原因:火のついた油が排気ダクトに吸い込まれ、ダクト内に堆積していた油塵に着火
    ・被害:営業中の店舗が全焼
    ・問題点:ダクト内の日常清掃を怠っていた

    焼肉店では、肉を焼くと同時に煙を外に逃がす無煙ガスロースターが設置されていることがあります。
    この店舗ではテーブルの下に排気ダクトがあり、ダクト内に油塵が大量に堆積していたことで油塵に着火しました。その後排気ダクトが過熱しベニヤ壁へ延焼、防火ダンパーも閉鎖することができずテーブル方向へも火が広がりました。当該焼肉店では、開店以来排気ダクト内の清掃をしていなかったとみられています。

    内部を目視しにくい排気ダクトですが、日常的な清掃が必要です。またダクトは屋外や設備に繋がっていることが多く、延焼につながる可能性が高いため、ダクト内火災は大変危険です。

    4.カセットボンベの過熱による爆発事故

    ・発生場所:北海道札幌市
    ・発生時期: 2025年5月
    ・火災の原因:カセットボンベが熱で破裂し、破裂の勢いで飛んだボンベが炭炉の中に入り、ガスに炭火が引火して爆発
    ・被害:4名負傷
    ・問題点:カセットボンベが熱せられた、不要なカセットボンベを放置していた

    部屋の隅で炭を焚いていたところ、2m離れた棚に置かれていたカセットボンベが熱により膨張。ボンベが破裂し、勢いよく飛んだボンベが一度天井に当たったあと、運悪く炭炉の中に入り、引火して爆発しました。爆発により店舗のガラスは飛び散り、負傷者も出ました。

    カセットボンベは家庭でも使われるほど身近な商品ですが、付近で熱が発生する作業をすると簡単に破裂します。その破裂の威力は凄まじく、別の事故ではカセットボンベの破裂により死者が発生したこともあります。

    5.店内の改装作業中に発生したガス爆発事故

    ・発生場所: 福島県の飲食店
    ・発生時期: 2020年7月
    ・火災の原因:ガスが店内に充満している中、店内に入室し電気をつけた瞬間に引火した可能性
    ・被害:1名死亡、2名重傷、17名負傷、建物大破、周辺地域への建物被害(窓ガラスや壁面損傷)など
    ・問題点:ガスの漏洩に気づくことができなかった、ガス漏れ警報器が作動していたか不明であった

    事故当時、内装の大幅リニューアル作業中であり、様々な工事を行っていました。そのような状況下で、厨房シンク下のガス管腐食により、ガスが漏洩していたとみられています。ガスが店内に充満している中、店内に入室し電気をつけた瞬間に引火した可能性が考えられています。なおガス漏れ警報器は設置されていましたが、作動する状況だったかは不明です。

    飲食店での改装工事では、ガスや電気等を適切に取り扱う必要があります。工事業者に適切な作業を任せるのはもちろんですが、それだけで安心というわけではありません。自身の管理する建物や店舗が消防法に抵触していないか、オーナー・管理者自らが定期的に見つめ直すことも必要です。

    当該店舗では2018年に消防法違反(防火管理者選定、消防訓練の未実施、消防計画の未作成など)が指摘されていましたが、消防による再三の指導後も改善されていなかったなど、ソフト面での違反もあったとみられています。

    火災リスクの低減と経営

    火災対策に関するよくある誤解として、「防火・防災への投資は利益を生まないコストだ」と捉えられがちです。しかし我々はそうとは考えません。いくら粗利が出ていたとしても、火災やその他災害による損失(直接的な被害に対する費用だけでなく、従業員の満足度低下・評価の低下なども含みます)が大きければ、「利益」を拡大することは難しいでしょう。万が一の損害を極小化することは、長期的な「利益」に直結すると考えています。

    火災リスク低減が可能な設備の紹介

    1.液体消火器

    平成28年12月の糸魚川市大規模火災を受けて、「火を使用するすべての飲食店に消火器の設置が必要」となりました。消火器には様々な種類がありますが、油を使用する飲食店には「液体消火器」がおすすめです!特におすすめする設置方法は「粉末消火器+液体消火器」の併設です。

    一般的に流通している粉末消火器でも消火は可能ですが、液体消火器と比べ、油火災(B火災)には少し弱い側面があります。液体消火器は強アルカリ性の消火薬剤の化学的特性により油との間に化学反応(けん化反応)を生じさせ、有効に油の温度を下げ消火することが可能です。

    2.厨房用自動消火装置 「CARGA-212」

    万が一厨房で火災が発生した際、消火器を取りに行く間にも火はどんどん大きくなります。それを防ぐため、自動で消火してくれる装置も有効です。CARGA-212(カルガ212)は優れた防炎・制炎効果を持ち、てんぷら油火災に非常に効果的です!万が一の火災時に瞬時に検知、強化液消火剤を放出し、消火をします。また感知センサーはメンテナンスが簡単で、業界初の感知器部分だけを交換できるイージーメンテナンスタイプです。

    3.水フィルターNDCぶくぶくジェット

    火災予防条例では、排気フードに排気中に含まれる油脂等の付着成分を有効に除去するための「グリス除去装置」を設けることが義務付けられています。水フィルターNDCぶくぶくジェットは、水の力で油脂を除去する高性能グリス除去装置です。水で排気を洗うバブリングパワーにより、匂いと油汚れを水で洗い、ダクト内の清潔を保ちます!(油脂除去率90%以上、臭気除去率70%以上)

    まとめ

    飲食店における火災は単なる「運の悪さ」だけでなく、日々の清掃不足や不注意、知識不足といった「人災」も一因となっているのが現実です。
    今回ご紹介した5つの事例には、それぞれ明確な原因、問題点がありました。裏を返せば、これらを反面教師として対策を講じることで、火災リスクを下げることが可能です。

    「自分の店だけは大丈夫」という思い込みを捨てることが、あなたのお店と、そこで働く従業員、そしてお客様を守ることにつながります。
    火災対策でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください!

    記事執筆者

    サトウ

    ボーサイナビット メイン担当の佐藤です! 2024年に㈱初田製作所に中途入社し、以来ボーサイナビット編集を担当しています。今では自宅に消火器を置いています。

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