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防火対象物点検は、建物の防火安全を確保するために欠かせない取り組みです。本記事では、防火対象物点検の概要や義務、対象となる施設、さらには定期点検の重要性について詳しく解説します。加えて、自社のみに留まらず、第三者によるチェックや診断サービスを活用するメリットやリスク低減のための具体的な方法についても触れていきます。
目次
防火対象物点検とは、火災発生時における人命の安全確保や財産保護を目的として、消防法や関係法令に基づき適切な防火管理を行えているか、消火器等の消防用設備、また非常口や避難経路などが適切に設置・管理されているか等を点検します。
特定防火対象物(病院、学校、劇場など)や非特定防火対象物(工場、倉庫、事務所など)といった施設の用途に応じて点検内容や基準が異なるため、施設ごとの特性に合った点検が求められます。
また、似たような言葉に「消防設備点検」がありますが、消防設備点検は設備(ハード面)の点検を行うのに対し、防火対象物点検は防火管理体制等といった主にソフト面を点検します。
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防火対象物点検が義務化された背景には、2001年に東京・新宿歌舞伎町のビルで発生した重大な火災事故があります。この事故では44名もの方が亡くなり、要因として避難経路である階段に多くの障害物が置かれていたこと、消防設備点検や避難訓練が実施されていなかったことが挙げられます。
この事故を教訓とし、建物の防火基準を強化し、定期的に点検を行うことで火災リスクを低減する必要性が高まりました。特に、多数の人が利用する施設や避難が困難な人が集まる施設では、点検の重要性が強調され、消防法の改正により2003年に施行されました。
防火対象物点検を実施することには以下の意義があります。
✅火災発生時の被害極小化
防火管理体制を確認し、適切な運用を行うことで火災時の被害をなるべく最小限に留めます。
✅安全な避難環境の確保
避難経路や非常口の確認を行うことで火災時に迅速かつ安全に避難できるようにします。
✅建物利用者の安心感向上
定期点検により防火対策が適切に行われていることを示し、利用者に安心感を与えます。
✅法令順守
消防法や関係法令に従った適切な運用を行い、法的リスクを回避します。
防火対象物点検では以下のような項目を確認します。
✅防火管理
・防火管理者の選任状況:防火管理者が正しく選任されているかを確認します。
・避難訓練の実施記録:定期的に避難訓練が行われているかを確認します。
・消防計画:最新の計画書が作成されているかを確認します。
✅防炎性能
カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているかを確認します。
✅避難経路
・防火戸:閉鎖障害となるものが置かれていないかを確認します。
・避難経路:避難階段や避難経路上に障害物が置かれていないかを確認します。
✅消防設備
消防法令の基準による消防設備等が適切に設置・管理されているかを確認します。
なお、消火器や屋内消火栓、スプリンクラー設備、誘導灯など消防設備全般の機能に関する部分は、通常「消防設備点検」に含まれ、防火対象物点検の範囲外です。これらについては専門業者に依頼する必要があるため、混同しないよう注意しましょう。これらの点検項目を網羅的にチェックすることで、火災リスクを低減します。
以下の用途に使われている防火対象物は、その下に記載された条件に該当する場合に点検・報告の義務が発生します。
・1項 イ/劇場、映画館、演芸場、観覧場
・1項 ロ/公開堂、集会場
・2項 イ/キャバレー、カフェ、ナイトクラブその他これらに類するもの
・2項 ロ/遊技場、ダンスホール
・2項 ハ/風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗。その他これに類するものとして総務省令(規5-1)で定めるもの
・2項 ニ/カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令(規5-2)で定めるもの
・3項 イ/待合・料理店その他これらに類するもの
・3項 ロ/飲食店
・4項 /百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗、展示場
・5項 イ/旅館・ホテル・宿泊所その他これらに類するもの
・5項 ロ/寄宿舎・下宿・共同住宅
・6項 イ/病院・診療所・助産所
・6項 ロ/老人短期入所施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設・乳児院・重症心身障害児施設など
・6項 ハ/老人デイサービスセンター・軽費老人ホーム・老人福祉センター・助産施設・保育所・児童養護施設など
・6項 ニ/幼稚園・特別支援学校
・9項 イ/公衆浴場のうち、蒸気浴場・熱気浴場・その他これらに類するもの
・9項 ロ/9項イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
・16項 イ/複合用途防火対象物のうち、その一部が、(1)~(4)・(5)イ・(6)又は(9)イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの
・16項 ロ/16項イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物
・16-2項/地下鉄
【条件】
✅収容人員が30人以上300人未満の防火対象物
・特定用途部分地階又は3階以上に存するもの
・階段が1つのもの(屋外に設けられた階段等であれば免除)例:小規模雑居ビル等
✅収容人員が300人以上の防火対象物
点検・報告の義務があります。
防火対象物点検を行うには、専門的な知識と資格が必要です。具体的には以下の資格が求められます。
✅防火対象物点検資格者
消防法に基づき、防火対象物点検を実施するための専門資格です。計4日間にわたる「防火対象物点検資格者講習」を受講し、最終日の終了考査に受かると資格が与えられます。以前は防火管理者に選任されていないと受講ができませんでしたが、2007年から防火管理講習の課程を修了した者で実務経験が5年以上あれば、受講ができるようになりました。
1年に1回点検を実施し、管轄する消防署又は出張所に報告する必要があります。消防法令に適合していると認められた場合は、点検済証を1年間表示することが可能です。また、点検・報告をしなかった者は30万円以下の罰金刑又は拘留が、その法人に対しては30万円以下の罰金が科されることがあるので怠らないようにしましょう。
自社内で点検を行う場合、専門知識の不足や見落としが発生する可能性があります。そのため、第三者機関や専門業者による点検を活用することが効果的です。
当社が提供する火災リスク診断サービスは、防火対象物点検とは異なり、法的な義務に基づくものではありません。あくまで自主的な取り組みとして、施設や設備の火災リスクを洗い出し、防火対策を見直すことを目的としています。
✅当社ノウハウによる250以上のチェック項目
外部専門家として建物内や設備等の状況を客観的に細やかに診断します。
✅レポートの提出
診断結果を詳細に報告し、潜んでいる火災リスクを洗い出します。
✅リスク低減のアドバイス
火災リスクを最小限に抑えるための具体的なアクションプランを提供します。
法令に基づく「消防設備点検」や「防火対象物点検」に加え、自主的に当サービスを取り入れることで、より高い安全性と安心感を実現できます。
▶ 詳しくはこちら:初田製作所の火災リスク診断サービス
防火対象物点検は、人命や財産を守るために欠かせない取り組みです。定期点検を通じて法令を順守し、火災発生時の被害を最小限に抑えることが重要です。
一方で、初田製作所が提供する火災リスク診断サービスは「そもそも火災を発生させない」という予防に重きを置いています。火災リスクを把握し、改善を行い防火対策を強化するためのサービスです。ぜひご活用いただき、安全で安心な環境づくりを一緒に進めていきましょう。お気軽にお問い合わせください。
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