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防火扉(防火戸)とは?種類・設置基準・点検義務をわかりやすく解説

    防火扉(防火戸)とは

    火災発生時、炎や煙が別の部屋やフロアへ拡散するのを防ぐために、建築物の開口部(出入口や階段室の入口など)に設置される防火設備の一つが「防火扉」です。「防火戸」とも呼ばれ、同じものを指します。

    防火扉は、建築基準法施行令第112条に定められた「防火区画」を形成するための重要な設備です。防火区画とは、火災時に燃えにくい壁や防火扉・防火シャッターなどで建物内を区切り、延焼や煙の拡散を最小限に抑えるための単位(部屋・エリア)のことを指します。大きく分けて次の4つに分類されます。

    1.面積区画:一定の床面積ごとに区切り、水平方向(横方向)への延焼を防ぐための区画

    2.竪穴区画:階段やエレベーターシャフト、ダクトなど、上下階をつなぐ「竪穴」を通じた延焼・煙の流入を防ぐための区画

    3.高層区画:11階以上の高層階において、消火や避難の難しさを考慮し、より細かく床面積を区切って延焼を防ぐための区画

    4.異種用途区画:店舗と住宅など1つの建物内に異なる用途が混在する場合、火災リスクの違いに応じて区切り、別の用途への延焼を防ぐための区画

    煙は水平方向に毎秒0.5〜1m、垂直方向には毎秒3〜5mという速さで広がるといわれています。垂直方向のほうが3〜5倍速く広がるため、竪穴区画にはより厳しい基準が設けられており、そこに設置される防火扉の役割は特に重要です。

    防火戸の種類

    防火扉は、平常時の開閉状態と火災時の作動方式によって、大きく2つのタイプに分けられます。

    随時閉鎖式は、日常的な人の往来を妨げないよう平常時は開けておき、火災を検知した際に自動で閉まる仕組みです。この方式は利便性が高い一方、後述するように「閉鎖スペースに物が置かれていて閉まりきらない」といったトラブルが起きやすく、日頃の管理が特に重要になります。

    防火扉の設置基準

    防火扉の設置が必要な範囲や仕様は、建築基準法施行令第112条をはじめとする関連法令によって定められています。防火区画が必要とされる建築物(延べ面積や用途、階数などの条件に該当するもの)では、区画を構成する開口部に防火扉の設置が義務付けられます。

    具体的にどの開口部に、どの仕様の防火扉が必要になるかは、建物の用途・規模・構造によって異なるため、新築・改修の際は必ず所轄の消防署または建築主事に確認することをおすすめします。

    防火扉の点検義務

    防火扉は設置して終わりではなく、正常に作動するかどうかを定期的に確認する必要があります。防火扉を含む防火設備は、消防法に基づく消防用設備点検(機器点検・総合点検)や、建築基準法に基づく定期報告制度の対象となる場合があります。

    具体的な点検の種類や周期については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

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    点検を怠り、防火扉が正常に閉鎖しない状態を放置してしまうと、法令違反となるだけでなく、次章で紹介するような重大な被害につながるおそれがあります。

    防火戸の管理不備が招いた火災事例

    2001年に発生した新宿歌舞伎町ビル火災では、44人もの尊い命が失われました。その要因の一つとされているのが「防火戸の管理不備」です。

    事後の検証によると、階段室に設置されていた随時閉鎖式の防火戸の前に多量の物が置かれており、本来閉鎖するはずの防火戸が閉鎖されませんでした。その結果、唯一の屋内避難階段である室内に不完全燃焼による一酸化炭素を含んだ煙が流れ込み、多くの人が意識不明となり命を落としました。

    この火災の出火原因は放火と推定されていますが、避難経路である階段室に日常的に可燃物が置かれていたことが延焼の速さや避難障害、そして防火戸の機能不全につながりました。この火災を機に消防法改正など大きな社会的な動きがありましたが、最終的に人命を守るのは法律そのものではなく、日頃からの一人ひとりの意識に他ならないといえるでしょう。

    その防火戸、大丈夫?

    上記の事例からもわかるとおり、火災時に防火扉が機能しないことは甚大な被害につながる可能性があります。

    弊社では2014年から火災リスク診断サービスを提供しており、様々な業種の工場を数多く訪問してきました。防火扉の役割をしっかりと理解し適切に管理している工場がある一方で、防火扉の存在に気づかずドアストッパーを挟んで開放状態にしていたり、扉の前に障害物を置いて閉まらない状態になっていたりする管理不十分な事例も数多く見てきました。

    火災対策は、火災を起こさないための予防策や発生後の初期消火だけにとどまりません。その先の避難についても真剣に考える必要があります。火災リスク診断サービスでは、こうした総合的なリスクを事前に洗い出し、最適な改善アドバイスを行っています。第三者の目線だからこそ気づける点も多くあります。詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。

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    よくある質問

    Q. 防火扉と防火シャッターの違いは何ですか?

    A.  どちらも防火区画を形成するための防火設備という点は共通していますが、防火扉は扉(ドア)形状、防火シャッターはシャッター形状という違いがあります。設置場所の形状や用途に応じて使い分けられます。

    Q.  防火扉の前に物を置いてはいけないのですか?

    A. 防火扉の作動を妨げる物を置くことは、消防法や建築基準法でも禁止されています。新宿歌舞伎町ビル火災のように、閉鎖すべき防火扉が閉まらず被害が拡大した事例があります。日頃から防火扉周辺の管理状態を確認することが重要です。

    Q.  防火扉が正常に作動しているか、自分たちでも確認できますか?

    A. 日常点検として、扉の周辺に障害物がないか、手動でスムーズに動いて最後までしっかり閉まるかなどを目視で確認することは可能です。ただし感知器との連動確認や、法令で義務付けられている定期検査には専門資格が必要です。詳しい点検やメンテナンスについては、弊社までお気軽にご相談ください。

    まとめ

    防火扉(防火戸)は、火災時の延焼・煙の拡散を防ぐ防火区画を構成する重要な設備です。常時閉鎖式・随時閉鎖式という2つのタイプがあり、それぞれの特性に応じた管理が求められます。設置基準は建築基準法などで定められていますが、法令を満たすだけでなく、日頃からの適切な管理・点検を怠らないことが、いざという時に命を守ることにつながります。

    自社の防火扉が適切に管理・維持されているか不安な方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。

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