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火災2024.05.29

工場などの防火管理者とは?防火管理者の要件や講習、選任が必要な対象物について解説!

工場の安全性を確保するうえで欠かせないのが防火管理者の存在です。
当記事では、防火管理者の役割や必要性、選任が必要、不要な対象物、防火管理者になるために知っておくべき内容について詳しく解説します。

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防火管理者とは

工場などの施設において、火災予防と安全管理の重要な役割を担うのが防火管理者です。防火管理者の職責は、火災の発生を未然に防ぐこと、万が一火災が発生した場合には迅速に対応し、人命や財産の損害を最小限に抑えることです。

防火管理者は消防法に基づき選任し、防火管理に関する消防計画の作成、定期的な防火点検や消防訓練の実施、消防設備の管理など、防火対策の責任者としての役割を果たします。また防火管理者には「甲種」と「乙種」の区分があり、建物の用途や規模に応じて適切な資格を持った人物を選任する必要があります。

防火管理者と防災管理者の違いとは

防火管理者と防災管理者の違いとは、その役割と責任範囲にあります。防火管理者は主に火災による被害の防止・軽減をおもな役割とし、特定の建物や施設における火災のリスクを管理します。一方防災管理者は、火災以外の地震や津波などの自然災害全般に対する対策を総括します。

つまり、防火管理者は「火災」という特定のリスクに特化しているのに対し、防災管理者はより広範囲な地震や津波などのリスクに対応する役割を持っています。このため、防災管理者は防火管理者よりも広い知識と対応力が求められることが多いです。

防火管理者の区分とは

防火管理者は、その資格や役割に応じて「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」に区分されます。

甲種防火管理者

甲種防火管理者は、用途や規模、収容人員にかかわらず、すべての防火対象物で防火管理者になることができます。この役割を果たすためには、防火管理に関する広い知識と経験が求められます。具体的には、火災予防の計画立案、防火設備の管理、火災発生時の初期対応などです。また、定期的な消防設備点検の実施や防火訓練の指導も行い、施設内の安全確保を常に最前線で支える役割を持っています。

乙種防火管理者

乙種防火管理者は、おもに小規模な建物や施設での防火管理を担当します。この区分の防火管理者は、消防法に基づいて特定の建物において防火管理の責任を持ちます。

具体的には、「乙種防火対象物で特定防火対象物の場合は延べ面積300㎡未満」、「非特定防火対象物の場合は500㎡未満のもの」、「甲種防火対象物内のテナント等で収容人員が特定用途の場合は30人未満(施設の条件によっては10人未満)、非特定用途の場合では50人未満の事業所」など、防火対象物が制限されています。

防火管理者の選任が必要な建物とは

防火管理者の選任が必要な建物は、おもに「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」に分けられます。

特定防火対象物の場合

特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする施設、または火災発生時に避難等が困難であると想定される施設のことで、特別な規制が設けられた建物や施設を指します。収容人員30人以上(入所型の福祉施設等は10人以上)で防火管理者の選任が必要となります。

特定防火対象物の例

病院、福祉施設、劇場、飲食店、ホテル、幼稚園などが該当します。これらの施設は不特定多数の人が日常的に利用する場所であるため、火災が発生した際の安全確保が特に重要視されます。他にも高層ビルや地下街など、避難経路が限られている場所も特定防火対象物に分類されます。

特定防火対象物の防火管理者選任条件

防火管理上必要な業務を適切に行うことができる、資格を有する管理的または監督的な立場の人が条件となります。特定防火対象物の場合、基本的には甲種防火管理者の資格が必要となります。ただし、入所型の福祉施設以外で延べ面積300㎡未満の場合、乙種防火管理者も認められています。

非特定防火対象物の場合

非特定防火対象物とは、上記の特定防火対象物以外の建物や施設を指します。収容人数が多い建物もありますが、出入りする者が限られるという特徴があります。収容人員50人以上で防火管理者の選任が必要となります。

非特定防火対象物の例

事務所や工場、倉庫、寺院、学校などが含まれます。これらの建物は特定の人物が利用することから、上記の特定防火対象物よりも基準が緩和されます。

非特定防火対象物の防火管理者選任条件

非特定防火対象物の場合、特定防火対象物よりも必要な資格が緩和されます。延べ面積500㎡以上の場合、甲種防火管理者の資格が必要ですが、延べ面積500㎡未満の場合は乙種防火管理者も認められています。

防火管理者になるために必要なこと

防火管理者になるためには、いくつかの要件が必要です。

防火管理者の要件

防火管理者になるためには、特定の要件を満たす必要があります。まず、防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあることが求められます。また、防火管理上必要な知識や技能が必要とされるため、消防法に基づく防火管理講習を受講し、修了証を取得している必要があります。

防火管理講習

防火管理者になるためには、防火管理講習を受講し、修了する必要があります。

甲種防火管理新規講習

この講習では、防火管理の意義および制度、火気管理、施設・設備の維持管理、防火管理に関する訓練や教育、消防計画など、防火管理に必要な知識と技術を学びます。大規模な施設や多くの人が出入りする場所を管理する責任者として、高度な防火・防災対策を理解し実行できる能力が求められます。

通常、講習は2日間にわたり実施し、試験に合格することで資格が付与されます。

乙種防火管理新規講習

乙種防火管理講習は、主に小規模な施設や建物の防火管理者を対象とした講習です。この講習を受けることで、防火管理の基本的な知識と技能を身につけることができます。講習内容は、火災予防の基礎、初期消火の方法、避難誘導の技術などです。また、法令に基づく防火管理の義務や責任についても学ぶことができ、日々の業務で直面するかもしれない様々な状況に対処するための準備となります。

通常、地方自治体や消防署が主催し、1日で終わる講習を修了すると修了証が交付されます。

防災管理新規講習

防災管理新規講習は、甲種防火管理者修了資格を有する方が、防災管理に係る講習修了資格を追加して取得するための講習です。

防火管理者資格の有効期限

防火管理者の資格に有効期限はありません。

ただし、「収容人員が300人以上の特定防火対象物」の甲種防火管理者のみ、新規の甲種防火管理者講習または再講習を受講した日から、5年以内に再度受講しなければなりません。

防火管理者の届出

消防法第8条に基づき管理権原者(代表取締役等)は、資格を有する管理的・監督的な地位にある者から防火管理者を選任し、遅滞なく消防署長に届出なければなりません。解任したときも同様に届出が必要になります。

消防法違反による罰則・罰金

消防法違反による罰則・罰金について理解することは、防火管理者としての責任を果たすうえで非常に重要です。防火管理者を適切に選任しなかったり、解任の届け出を怠ったりすると、法律により罰金や罰則が科される場合があります。

防火管理者の選任・解任の届出を怠った場合

防火管理者の選任・解任の届出を怠った場合、企業や施設は重大な法的責任を負うことになります。消防法では、防火管理者の選任や解任があった際には、速やかに消防署に届け出ることが義務付けられています。この届け出を怠ると、消防法違反として罰則が科される可能性があります。

違反が発覚した場合、30万円以下の罰金または勾留を受けることがあり、企業の信用失墜にもつながりかねません。防火管理者の選任は、ただの形式的な手続きではなく、その施設の安全を守るための重要な責務です。適切な届け出を行うことで、万一の火災から人命と財産を守るための準備が整います。

防火管理者選任命令違反

防火管理者選任命令違反とは、防火管理者の選任が義務付けられているにも関わらず、これを怠った場合に課される罰則です。この違反が発覚した場合、建物の所有者や管理者は6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。特に火災のリスクが高いとされる特定防火対象物では、防火管理者の選任が厳格に求められており、違反した場合の罰則も重くなる傾向にあります。

まとめ

工場などの安全管理において重要な役割を果たす防火管理者について、その役割や選任が必要な建物、必要な資格や講習について解説しました。防火管理者は、火災予防だけでなく、万が一の火災発生時の初期対応も担うため、適切な知識と技能が求められます。特定防火対象物と非特定防火対象物によって求められる防火管理者の種類や条件が異なること、また、甲種と乙種の防火管理者に分かれることも理解しておく必要があります。

防火管理者の選任は法的義務であり、適切な届出や更新が求められることも忘れてはなりません。安全な職場環境を維持するためにも、防火管理者の役割を正しく理解し、適切な人材がその職を担うことが重要です。

防火・防災に関することでお悩みの方は、ぜひ一度防災のプロ、初田製作所へご相談ください。

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